JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

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NexTech Week 2025 へ行ってきました

10月8日から10日までの3日間、幕張メッセで開催された「NexTech Week 2025 秋」に行ってきました。

このイベントは、テクノロジーの最前線を一堂に集めた複合展示会で、同時に複数の専門分野の展示が開催されるのが特徴です。事前に準備した1枚の入館バッジで、会場内に並ぶさまざまなゾーンを自由に行き来できるのも魅力のひとつです。

今回の展示構成は次の5つ。

  • 第6回 AI・人工知能 EXPO

  • 第6回 ブロックチェーン EXPO

  • 第6回 量子コンピューティング EXPO

  • 第4回 デジタル人材育成支援 EXPO

  • 第5回 XR・メタバース総合展


巨大な会場に入ると、最初に感じるのは「時代の勢い」です。どのブースも華やかで、照明や大型ディスプレイがひしめき合い、来場者の熱気に包まれています。
まさに、“技術の祭典”という言葉がぴったりでした。

★残念なところ★

AI 関連企業の競争が激化しているせいか、ブースの入口では多くのスタッフが展示資料を配布しており、少しでも中を覗こうものなら、すぐに近づいてきてチラシを手渡し、首から下げた入館証をスキャンしようとする光景があちこちで見られました。そのため、落ち着いて展示パネルやデモをじっくり見学できないのがとても残念でした。

特に、入口前で多くのスタッフが一斉に資料を配っているようなブースは、かえって足を止めづらく、つい通り過ぎてしまいます。結果として、そうしたブースほど実際に話を聞いている来場者が少ない印象で、なんだか本末転倒だなと感じました。

全体の雰囲気としては、まるで昔の大型家電量販店のような熱気と押しの強さを思い出させるものでした。特に今回の NexTech Week 2025 は、例年にも増して「チラシ配り競争」が激しかったように思います。


注目は AI・人工知能 EXPO ― LLM と AI エージェントの波

私が特に時間をかけて回ったのは「AI・人工知能 EXPO」です。
ChatGPT をはじめとする生成 AI 関連のサービス、そして話題の LLM(大規模言語モデル)を活用した最新ソリューションがずらりと並んでいました。

最近は「AIエージェント」という言葉を耳にする機会が増えていますが、まさにその未来像を体感できる展示が多く、AI が単なるツールから “行動する存在” へと進化していく様子が感じられました。

自律的に情報を取得し、判断し、他のシステムと連携して動く――
そんな “AIの次のステージ” を、目の前で見せられた気がします。

ブースの担当者と話をしていると、「生成AIを活用した社内業務支援」「自然言語による業務フロー自動化」など、いわゆる “AIと人間の共働” が実現しつつあることを肌で感じました。

ほんの数年前までは SF のように思えたことが、すでに日常業務に入り込みつつあると強く感じました。

古き良き「アマチュア無線」との対比

こうして最新技術を間近に見るたびに、ふと自分の趣味である「アマチュア無線」のことを考えてしまいます。私が日々楽しんでいるのは、電波という “アナログの世界” の中での交流です。時に電鍵を磨き、古い無線機の調子を確かめ、モールス信号の短点・長点を聞き分けて時を過ごす。どこか “手作り” の温もりを感じる世界です。

しかし、AI や量子コンピュータの展示を見たあとに自宅に帰って無線機のダイヤルを回すと・・・まるで時間が止まったような感覚に陥ることもあります。新しい技術のスピード感に圧倒されつつも、私はいまだにこの “古い技術” に魅力を感じていたりします。

それはきっと、「通信」という根本の楽しさが、昔も今も変わらないからかもしれません。AI がどんなに進化しても、誰かとつながる喜びは変わりません。電波の向こうから聞こえる相手の信号は、いまもなお私の心を動かします。

アマチュア無線が “語る場” であってほしい

アマチュア無線の交信をワッチしていると、「599 BK」や「QSL は JARL で…」といった定型的なやり取りで終わってしまうことが少なくありません。もちろん、それもアマチュア無線の伝統的なスタイルとして大切な文化のひとつですが、もしこの電波の上で、もっと新しいテクノロジーの話題を交わすことができたらどうでしょうか。

「最近の AI エージェント、すごく進化してきたね。」
「量子通信が実用化されたら、無線の世界はどう変わるんだろう。」

そんな会話が、無線で交わされるようになったら・・・アマチュア無線は “過去の遺産” ではなく、新しい時代への入り口として、もう一度輝きを取り戻すかもしれません。

古くから続く通信技術に、最先端の話題を乗せて飛ばす。その交わりの中にこそ、アマチュア無線の新しい楽しみ方があるのではないかと、私は感じています。

おわりに

今回訪れた NexTech Week では、テクノロジーの進化の速さと、その一方で、私が愛してやまない “アナログの世界” の確かな価値の両方を、改めて実感しました。

AI が描く未来のビジョンを見ながらも、電波の向こうに人の温もりを感じる、そのバランス感覚こそ、これからのアマチュア無線に必要なものなのかもしれません。

そして来週は、同じ幕張メッセで CEATEC 2025 が開催されます。私が今一番関心があるヒューマノイドロボットも展示されるようです。さて、どんな未来を見せてくれるのか今から楽しみです。

技術の進化を追いかけながら、そして電波の世界に戻って語りたくなる、そんな時間を楽しめたら最高です。