JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

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和文電信で感じる「茨木のり子」の詩の世界 4

1926年(大正15年)の今日は、戦後の日本を代表する女性詩人の ”茨木のり子” さんが生れた日です。

今では多くの国語教科書に掲載されている代表作である
「わたしが一番きれいだったとき」を、和文電信でお届けします。

茨木のり子さんの詩は、過去に3度ほどですが、和文電信で掲載させていただきました。
和文電信で感じる「茨木のり子」の詩の世界 1
和文電信で感じる「茨木のり子」の詩の世界 2
和文電信で感じる「茨木のり子」の詩の世界 3



タイトル:わたしが一番きれいだったとき


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わたしが一番きれいだったとき
                茨木 のり子

わたしが一番きれいだったとき
街々はがらがら崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした

わたしが一番きれいだったとき
まわりの人達がたくさん死んだ
工場で 海で 名もない島で
わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった

わたしが一番きれいだったとき
だれもやさしい贈り物を捧げてはくれなかった
男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差しだけを残し皆発っていった

わたしが一番きれいだったとき
わたしの頭はからっぽで
わたしの心はかたくなで
手足ばかりが栗色に光った

わたしが一番きれいだったとき
わたしの国は戦争で負けた
そんな馬鹿なことってあるものか
ブラウスの腕をまくり
卑屈な町をのし歩いた

わたしが一番きれいだったとき
ラジオからはジャズが溢れた
禁煙を破ったときのようにくらくらしながら
わたしは異国の甘い音楽をむさぼった

わたしが一番きれいだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった

だから決めた できれば長生きすることに
年とってから凄く美しい絵を描いた
フランスのルオー爺さんのようにね


それでは今宵も素敵な和文ライフをお過ごしください。



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