日本のアマチュア無線家の中には、海に近い地域で運用されている方も多くおられます。海辺のロケーションは電波の飛びに恵まれる一方で、設備の維持という点では思わぬ苦労も伴います。特に日本海側では、冬になると強い季節風に乗って海水の塩分が内陸まで運ばれ、住宅や車だけでなく、無線設備にも少なからず影響を与えます。
今回、私の古くからの友人(もうお馴染み)の無線家、JH7VHA 柴田さんから、たいへん興味深い記事を送っていただきました。日本海沿岸の秋田県能代市で運用されている柴田さんが、実際に遭遇された「塩害によるアンテナ障害」についての報告です。
アンテナの不具合というと、コネクタの接触不良や同軸ケーブルの劣化などを思い浮かべがちですが、自然環境が原因となるトラブルも少なくありません。本記事では、実際の症状、原因の考察、そして対策までが、現場の体験としてまとめられています。
海沿いで運用されている方はもちろん、アンテナのメンテナンスに関心のある方にとっても、たいへん参考になる内容です。それでは、柴田さんによる貴重なレポートをご覧ください。
私が住んでいる秋田県能代市は、日本海沿いの町で、冬になると北西の季節風に乗って海水が運ばれてきます。
そのため、住宅の屋根や車が錆びやすく、対策として屋根をステンレス製にしたり、車は車庫で保管しています。
かなりの高額出費で、これに追加して、無線用アンテナの維持費がかかります。
2025(令和7)年3月上旬頃の出来事です。

不鮮明ですが、削りとる前は、真っ黒でした。
アンテナアナライザーで測定しても異常に気がつきませんでした。
100W 位までは VSRW は良好ですが、それ以上になると、VSWR > 5 になっていました。
基部のパイプを交換して復旧しました。焦げたパイプは予備として保管しています。
原因は、塩分が絶縁材に付着し、そこに高周波電圧が掛かり、スパークしたものと思われます。
対策として、定期的にアンテナを下げて、水で給電部を洗浄すればいいと思いますが
ここ秋田では、冬場は凍ってしまうので、ホースを片付けているので、大変です。(でも、やるしかないだろうなー)
あれから 1 年、3 回ほど洗浄作業を実施して、現在異常なく動作しています。
3 月下旬の総通局検査(IC-PW2増設)までに、もう 1 回洗浄を実施します。
今年は 20 年ぶりの豪雪で、毎日 3 ~ 5 回除雪して、屋根の雪下ろしをして、アンテナを洗浄して、体が大分鍛えられました。
春一番(キャンディーズの名曲)
🎼 雪が溶けて 塩になって 絶縁落ちます
♩ パワー入れて 火花飛んで 壊れてゆきます
♪ もうすぐ春ですね
♭ アンテナ点検してみませんか
♯ 泣いてばかりいたのは 去年のことでしたね
♬ ひとつ大人になって 忘れませんか
♪ もうすぐ春ですね
♫ アンテナ点検してみませんか
変曲:JH7VHA
■ ■ ■
無線設備は、一度設置すると長く安定して使えるものと思いがちですが、実際には設置環境によってさまざまな影響を受けます。特に海に近い地域では、目に見えない塩分が少しずつ設備に影響を与え、今回のような思わぬトラブルにつながることもあるようです。
今回ご紹介いただいた柴田さんの事例は、アンテナのトラブルの原因を丁寧に調べ、復旧し、その後の対策まで実践されている点で、とても貴重な記録だと思います。アンテナアナライザーでは異常が見えにくいケースがあることや、送信電力を上げたときに初めて症状が現れる点など、実際の運用経験から得られた知見が多く含まれています。
それにしても、今年の秋田は 20 年ぶりの豪雪とのこと。毎日の除雪に加え、屋根の雪下ろし、そしてアンテナの洗浄作業まで……。無線家の体力は、こうした日々の作業によって鍛えられているのかもしれません。
柴田さん、貴重な体験談のご寄稿ありがとうございました。今後の IC-PW2 増設の検査 も無事合格されることをお祈りしております。そして、その顛末記もまた、ぜひご紹介いただければと思います。
柴田さん、今回も寄稿をありがとうございました。