JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

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UV-K1「F4HWN v5.2.0」& 送信無効化方法

中華製ハンディ無線機 「Quansheng UV-K1」 を購入し、ファームウェアを書き換えて送信機能を無効化した際の手順と記録をまとめました。

UV-K5 と比較すると本体の高さが 約15mm 低く、ポケットにもすっぽり収まるコンパクトなサイズに仕上がっています。

F4HWN v5.2.0 を書き込みました。

UV-K5 との比較

以下、中華無線機(特にカスタムファームウェア界隈)で絶大な人気を誇る UV-K5 と、新しく登場した UV-K1 / UV-K1(8) との比較です。




※比較表の内容に誤りがあるかもしれません。

UV-K1 と UV-K1(8) はハードウェア的にはほぼ同一で、外装の違い(プラスチック前面 vs 金属前面パネル)が主な差異です。

UV-K5 からの最大の進化ポイントは、新プロセッサへの変更によるファームウェア容量の拡大、USB-C ポートで通常充電が使用できる、そしてよりコンパクトな筐体設計です。ただし新プロセッサの採用により、UV-K5 用のカスタムファームウェアはそのまま使えない点は注意が必要です。

到着から開封

中国の春節の時期に注文しましたが、約1週間ほどで商品が到着しました。

販売形態はフルセット構成で、充電器・リチウムイオンバッテリー・ヘリカルアンテナといった必要なアクセサリーがすべて同梱されています。送料込みで 3,000 円台という価格は、同等機能を持つ国産機や欧米ブランドのハンディ機と比べると驚異的なコストパフォーマンスと言えるのではないでしょうか。

ただし、ここで重要な注意点があります。

UV-K1 は UV-K5 と同様に、アマチュア無線帯域を含む広い周波数範囲で電波を送信できるハンディトランシーバーです。日本国内でこの無線機をそのまま使用し、誤って電波を発射した場合は電波法違反となります。アマチュア無線の資格(従事者免許)を持っていたとしても、改めて総務省の免許を受けて合格しなければならず、このまま電波を送信することは違法となりますので、注意してください。

一方で、UV-K1 にはハードウェアを改造せずに合法的に活用できる道があります。それがカスタムファームウェアへの書き換えです。

なぜファームウェアを書き換えるのか?

目的は大きく分けて2つあります。

  1. 送信機能を無効化(TX Disable)して合法化するため

  2. 受信機としての性能・機能を劇的にアップさせるため

カスタムファームウェアには送信機能を完全に無効化するオプションが用意されています。送信をソフトウェア的にロックしてしまえば、電波法上の送信設備には該当しなくなり、広帯域受信機(ワイドバンドレシーバー)として合法的に使用できるようになります。

広帯域受信機とは、アマチュア無線帯域に限らず、航空無線・消防・鉄道・気象など、さまざまな周波数帯の電波を受信して聞くことができる受信専用機のことです。UV-K1  はカスタムファームウェアによって高機能な広帯域受信機に生まれ変わり、市販の専用レシーバーにも引けを取らない性能を発揮します。

そこで今回は、UV-K1 を合法的な高機能・広帯域受信機として活用するためのファームウェア書き換え手順と送信禁止方法について解説していきます。

■ ■ ■


絶大な人気を誇る従来機 UV-K5 シリーズでは、世界中のハッカーや有志の開発者によってカスタムファームウェアの開発が活発に行われており、現在も複数のファームウェアが公開されています。

しかし、UV-K1 に UV-K5 用のファームウェアを書き込むことはできません。 今回の UV-K1 は、UV-K5 や UV-K6 とは異なり、内部の MCU(通信チップ)やメモリアーキテクチャが新しい構成に変更されているためです。

そのため、従来のチップ向けに最適化されたファームウェアをそのまま書き込もうとすると、正常に起動せず ソフトブリック(いわゆる文鎮化) してしまう可能性があります。

なお、現時点でウェブ上を調査した限りでは、UV-K1 に対応したカスタムファームウェアとして確認できるのは「F4HWN ファームウェア」のみであり、現在のところ選択肢は実質的にこの F4HWN ファームウェア一択という状況です。

F4HWN ファームウェアを導入

以下、F4HWN ファームウェアの導入記録です。

準備するもの

  • UV-K1 本体
  • USB-C ケーブル
  • Google Chrome または Microsoft Edge ブラウザ

github.com

Web ブラウザを使った手軽な書き込み手順

1.パソコンの USB 端子と UV-K1 を USB-C ケーブルで接続します。


USB-C ケーブルの接続だけで OK です。

2.上記のウェブサイトにアクセスして、「Flash」をクリックします。


3.ファームウェアを書き込む前に、キャリブレーションデータをバックアップしておきます。


データがダウンロードできる画面になったら適当なフォルダにデータを保存しておきます。

4.ファームウェアの書き込み

ファームウェアを書き込むには、UV-K1 をフラッシュモードにする必要があります。

まず、UV-K1 の電源を OFF にします。次に PTT ボタンを押したまま電源を入れます。
すると、本体上部の LED ライトが点灯します。この状態が、ファームウェアを書き込むためのフラッシュモードです(液晶画面は真っ暗なままです)。

「Flash Firmware」タブでファームウェアを書き込みます。


タブを開くとファームウェアの最新バージョンが自動的に追加されます。



書き込み中のプログレスバーが最後まで走って書き込みが終了します。
この書き込み動作はすぐに終了します。

※注意点※
プログレスバーが 100% になり「書き込み完了」になるまで、絶対にケーブルを抜いたり、ブラウザを閉じたりしないでください。 途中で切断されると、UV-K1 は起動しなくなり、文鎮化する恐れがあります。

書き込みが無事に完了すると、UV-K1 が自動的にピッと音を立てて再起動して、新しいファームウェアの画面が表示されます。これで無事に中身の入れ替えは成功です!

送信無効化(TX Disable)の設定

送信無効化設定は必須です!

新しいファームウェアが起動したら、何よりも先に送信機能をロックして、受信専用機に設定します。

  1. 電源を入れながら PTT とその下のボタンを押して拡張メニューに入ります。
  2. メニュー 70 に移動して F Lock → DISABLE ALL を選択します。
  3. メニュー 13 に移動して TXLock → ON を選択します。

これで、誤って PTT ボタンを押してしまっても電波が発射されることはありません。

さらに安心な「物理改造」について

ファームウェアの設定で送信を禁止できますが、法的な観点では「設定を変えればすぐに送信できる状態」とみなされるリスクがゼロではありません。

より確実で安全に、堂々と受信専用機として運用するためには、本体を分解して基板上のパワーアンプなどの回路を物理的にカットするハードウェア改造をおすすめします。中身は UV-K5 と同じですので、ネット上の UV-K5 の PA カット記事がそのまま参考になります。

アニュアルについて

以下の Wiki は、Quansheng UV-K5 / K6 用カスタムファームウェアの解説マニュアルです。今回書き込んだ F4HWN のファームウェアも、基本的な操作はこれと同じです。

F4HWN 版は Egzumer 版をベースに機能追加や UI 改善を施した派生版のため、基本操作、メニュー構造、書き込み方法、スキャン機能、スペクトラムアナライザといった基本部分はほぼ共通しており、Wiki の内容は約 80〜90% がそのまま利用できます。

ただし、F4HWN 版で追加・変更された部分については若干の違いがあります。

github.com

メモリ書き込み用の CHIRP の設定

F4HWN のファームウェアを書き込んだ後の UV-K1 では、標準のメモリ編集ツール CHIRP はそのままでは動作しません。
そのため、F4HWN ファームウェアに対応した CHIRP 用の Python モジュールをダウンロードし、追加設定を行う必要があります。


CHIRP の設定については以下の記事を参照してください。

今回 F4HWN ファームウェアへ書き換えることで、使用できるメモリ数が 1000 チャンネル まで拡張されます。これにより、周波数帳に掲載されている主要な周波数をまとめて登録することも可能になるのではないでしょうか。

もし F4HWN 用の CHIRP データ を公開してくださる方がいれば、とてもありがたいところです。

www.jh1lhv.tokyo

(資料)UV-K5 系のプラグ配線について

  • 上側 2.5mm プラグ
     Tip = SPK+(受信音声出力)
     Ring = DATA/TX(通常の音声アクセサリでは未使用)
     Sleeve = GND(スピーカ GND / 共通 GND)
  • 下側 3.5mm プラグ
    Tip = +V(無線機側からの給電。触らない)
    Ring = MIC+(エレクトレットマイク入力)
    Sleeve = PTT / MIC- / RXD 系

イヤホンをつなぐ場合

受信音だけ聞きたいなら、使うのは 2.5mm 側です。
2.5mm 側の Tip がスピーカ音声、Sleeve がGND なので、2.5mm モノラルプラグ(TS) で受信音を取り出すのがいちばん素直です。2.5mm Ring はデータ系として使われるため、普通のイヤホン用途では触らないのが安全です。

■ ■ ■

さあ、この素晴らしい受信機を活用して、新たな電波の世界を切り開いていきましょう。