ハムでモールス信号(CW)と聞くと、欧文が思い浮かびます。
しかし、昔と比べて欧文の運用スタイルも随分と変わりました。
以前は、バンドをワッチしていても、QTH や QRA といった Q 符号や、RIG、WX などの略号が入った交信をよく聞いたものでしたが、しかし、今ではほとんどリポート交換だけのコンテストスタイルが主流となっています。
欧文のラグチューは日本語じゃないため、和文よりもハードルが高いこともあり、どうしてもラバースタンプ(短い交信)になりがちです。最近では、JCC や JGG ナンバーを使っての効率的な交信が増えていて、もう毎日が「コンテストなの?」って勘違いするほどのショート QSO が花盛り・・・ちょっと寂しい気もします。
固定局でも、CQ の最後にこれらのナンバーを送信する局は増えていて、こういった局は、最初から 599BK のようなショートな QSO を望んでいるので、長いフレーズを送信しない方がベターです。
一方で、現代の CW 運用がショートで済ませることが定着しているため、昔に比べて参入しやすくなっています。
コンテストスタイルの CW で必要なこと。
それは、相手のコールサインを正確にコピーすること。この一点だけです。
相手のコールサインがコピーできたら、もう交信できたようなもので。
極端なこといえば、コールサイン以外のすべてを取りこぼしても、数か月後にはちゃんと QSL カードが送られてきて交信を証明してくれますから。
自局のコールサインや RST の送信は、無線機のメモリ機能やパソコンを使ってクリック・ポンで終わりで、こういう運用はコンテストじゃ当たり前で、み~んなやっていることなのです。
欧文を覚え始めて、なんとかコールがとれるようになったら・・・
もう、「じゃんじゃん交信しましょう」ってことです。
それで、交信するなら7メガがいいですよ。
クラスタに上がっている移動運用のサービス局が狙い目で、このような局は 100% コンテストスタイルで、しかも CQ を繰り返し連呼してくれるので、しばらく聞いていればコールサインはコピーできるはずです。
基本的には以下の手順で交信ができます。
- CQ 局のコールサインをコピー(受信)する
- コピーできたら、メモリに登録した自局のコールサインを送信する
- 応答があったら、5NN BK(599 BK)を送信する
自分が呼ばれたかどうかは・・・自分のコールサインだけは不思議とどんなに速いスピードでも分かるものです。
基本的にはこれだけです。
一度も自分の手で送信することはありません。
交信の最後に TU を送信することもあるかもですが・・・まぁ、大丈夫でしょう。
時間がかかっても相手のコールサインがコピーできる程度の受信能力があれば大丈夫ということ。
モールスは聞けば聞くほど、必ず上達します。
最初はうろ覚えでも構わないので、このコンテストスタイルで交信を続けることが大切です。
それで送信なんですが、ホントに何もしないで大丈夫なのか気になりますよね。
こっちの練習はずっと後でも間に合うし、焦りは禁物です。
まずはコンテストスタイルの交信に慣れて、受信能力が上がってきたと感じたら、エレキーなどを使って練習してみるのが良いでしょう。
わたしは「コールサインの受信」という点に特別なこだわりを持っていて、過去には、PIC や micro:bit を使用して「コールサイン受信トレーナ」を作ったり、拙作の cw mania にコールサインの聞き流し機能を追加するなど、受信能力の向上を目指してきました。
受信に不安があっても、今日取り上げたコンテストスタイルならなんとかなりますが、やはり最終的には、高速で送信されるコールサインを一発でコピーできるようになりたいものです。
そのためには、コンテストスタイルの運用と並行して耳を鍛える練習はやはり必要で、例えば、コールサインだけをランダムで聞き続けるような練習が効果的です。
上達するには少しの苦行は必要です。
cw mania の目的は、受信能力の向上です。
基本的には、「次々と流れるコールサインをキーボードで入力」して、正解や不正解を判定し、正解が続けばモールスのスピードが少し速くなる、この繰り返しです。
「Call Sign 流し聞き」もできるので、CW を始めたばかりの初心者にも十分活用できると思いますので、ぜひお試しください。
とにかくコールサインを聞いて、聞いて、聞きまくることが重要です。
アルファベットと数字からなる6文字の規則的なモールス(JAの場合)のリズムに慣れることは、受信能力を向上させるために重要な要素です。
コンテストスタイルを取っ掛かりにして、最終的に和文まで突き進んでくれたら・・・
本当に嬉しいことです。