中華7メガ CW キットの組み立てが終了しました。
今日は、その製作過程で撮影した写真を中心に、ちょっとしたコメントもアップしました。
これからこのキットを作ろうとするハムの参考になれば幸いです。
ドキュメントは中国語ということもあって、Google 翻訳しながらの製作となりましたが、最終的にはしっかり動作させることができました。
この写真は、組み立て終了後です。
パーツチェック
これはすべてのキット製作で言えることですが、パーツをハンダ付けする前に、すべてのパーツチェックと、そのパーツの基板上の位置を確認しておく必要があります。
こういうチェックは結構面倒なことで、パーツをキット袋から取り出して、もう片っ端からハンダ付けしていきたいところですが、ここはグッと堪えることが必要です。
挿し込むリード方向や、値の読み間違いなど、こういうミスがハンダ付け終了後に見つかったりするともう大変で、ミスったパーツの除去に相当な労力が必要だし、外したパーツが破損したり、基板のスルーホールが捲れるなど、この後の組み立てにも影響を与える、結構厳しいことになってしまいます。
ということもあるので、私は簡単なキット製作でもハンダ付け前作業に結構時間をかけていて、今回の組み立てでも作業時間の半分はパーツチェックに当てたんじゃないかと思えるくらいなんです。
ハンダ付け前のチェック、チェック、チェック・・・これが、キット成功のカギですから。
パーツをハンダ付けするまでのチェック時間が長ければ長いほど、キットの成功確率は上昇しますから。
で、キットが動作しないといった原因なんですが、これはハンダ付けのミスが本当に多くて、キットに同梱されてくるパーツ自体に不良品が含まれていることなんて、実のところ極々稀なことなんですよ。
キットが失敗する原因は、ほとんどの場合で製作者側にあるんです。
(ちなみに、今回のキットにパーツの不良品は、ひとつもありませんでした。)
これから作るキットです。
抵抗、コンデンサなど・・・ひとつの袋にザックリ入っているところが、中華っぽいところ。
ドキュメントから、「回路図、PCB 実装図、パーツリスト」を、別途、紙で準備します。
(ドキュメントが、パソコンの画面だけというのは・・・失敗の元です。)
今回のキットでは、2色のマーカーペンを使って、大きく2段階でチェックしました。
(1段階、緑色チェック)ハンダ付け前のチェック
- パーツリストの値と回路図は合っているか
- 基板のどこに取り付けるか
- 実際のパーツを取り出し値を確認(確認終了後、リストの余白にパーツを整列)
(2段階、赤色チェック)ハンダ付け時のチェック
- PCB 実装図の位置を確認し、パーツをハンダ付け
抵抗、コンデンサなど・・・できる限りすべてのパーツをチェックします。(除く、IC)
ファイナル素子のパワー MOSFET BS170 のチェック。
このキット製作でイチバンの注意ポイント!
ファイナル素子で使う MOSFET の BS170 は、静電気にとっても敏感で、取り扱いを誤ると素子が破壊することがあるということです。
今は乾燥シーズンなので、ハンダ付けする際の帯電防止には特に注意が必要です。
わたしは、グランドしたリストバンドくらいしか対策してませんが・・・
まぁ、身体に帯電している静電気だけは逃がすんだと、そう意識しながら取り扱えば大丈夫じゃないかと思います。。。(参考)
トロイダルコイル(LI、L2、L3)の作成
ハンダ付け作業の途中で、このトロイダルコイル作成で中断するのは嫌だったので、パーツチェックに続けて、まず最初にこのコイルを作りました。
コア | 巻数 | |
L1 | N953(黒) | 6T |
L2 | T37-2(赤) | 15T |
L3 | T37-2(赤) | 16T |
※ 0.47mmのエナメル線
エナメル線の両先端の処理にサンドペーパーを使いました。
(こういう先端処理はせず、コイルを基板に取り付けるときに、直接ハンダごての熱で被覆を燃やすという方法もありますが、わたしはこの先端をヤスル方法です。)
多少被覆が残っていても、少し長めのハンダ付けで燃えるので大丈夫です。
ここで作ったトロイダルコイルの諸元が気になったので、計算サイトを使って確認してみました。
周波数と巻数を入れただけです。
L2: T37-2(15T)→ インダクタンス 0.90 μH
L3: T37-2(16T)→ インダクタンス 1.02 μH
ちなみに、7 MHz の周波数で、出力インピーダンスを同軸と同じ 50Ω と決め打てば、
巻数が17T で、インダクタンスは 1.14 μH で、容量は 455pF となります。
L2: 0.902 μH
L3: 1.110 μH
実際には、L2,L3 共に 1μH 程度を示せばいいと思います。
(ちなみに L1 は、4.173 μH でした。)
ハンダ付け作業
トロイダルコイルも作り、準備は整いました。
あとはひたすらパーツを確認しながら、ハンダ付けするだけです。
背が低いパーツから・・・が、セオリーですが。
わたしはパーツリストの順に、抵抗からコンデンサへと・・・ハンダ付けしていきました。
(やっぱりセオリーどおりに、イチバン背の低い IC ソケットから順にハンダ付けした方が作業しやすいと思います。)
それから、キットに同梱されてきたコンデンサ類は使いませんでした。
手持ちのない数個のセラミックコンデンサだけは仕方なく使いましたが、基本的には秋月電子で取り扱っている「絶縁ラジアルリード型積層セラミックコンデンサー」に、そして電解コンデンサは「ルビコン」に交換しました。
ということで、これらコンデンサは余りました。。。
フロント部分は、こんな感じになります。
7セグのピン4カ所に、キット付属のチューブを入れ忘れないように。
とりあえずここまで組み立てたら、DC+12V を投入して IC の電源端子が +5V になっているか確認します。(電源端子の極性は、内側がプラス、外側がマイナスです。)
モチロン、電源を投入する前に、目視や通チェッカを使ってハンダの短絡がないことを確認します。
ここまで確認できたら最後に、PLL ユニット(方向を間違えないように、▲ 同士を合わせます)と、フロントユニットを取り付け、5個の IC をソケットに装着します( ”ピンそろった” のようなジグを使うことをおススメします)。
受信調整と、送信出力の確認
受信調整は、T1、T2、T3 を調整して受信音が最大になるように調整します。
SPK ジャックにヘッドフォンを接続するとホワイトノイズが聞こえます。
でも、このホワイトノイズの大きさだけで調整するというのは難しいので、わたしは TinySA の SG 機能を使って、実際に聞こえるピー音が最大になるように、T1、T2、T3 を調整しました。
キット製作後のイチバン最初の電源投入で、周波数 7.025MHz でスタンバイするので、TinySA の SG 出力もこれに合わせて、ムセンキへ入力します。
送信出力は "Radio-Kits の Digital SWR meter (RK-SWR)" を使って測定し、約 3W(DC +12V)でした。
(2021/03/13 追記)
RK-SWR の校正を行ったところ、約4W を示すようになりました。
MOSFET の BS170 が可哀そうでやりませんでしたが、電源電圧を +15V まで上げれば、E 級アンプなので仕様どおりの 5W は出ると思います。
(回路図やドキュメントの掲示はしないようにとウェブに書いてあったので、こんな程度しかアップできません。)
ちなみに、ファイナル回路はロジック IC のドライブで、MOSFET の BS170 を3パラで E 級アンプとして動作させるという、海外の QRP キットにありがちな一般的な回路構成です。
秋月電子で @20 で売っている安物の素子ですが、ドレイン電流は最大で 1.2A と大きく、スイッチング速度も 10ns と高速で、ホント、最高のコスパだと思います。
50Ω のダミーロードを接続して送信したときの消費電流は 400mA ~ 500mA で、受信時は70mA でした。
最後に TinySA でスプリアスを測定してみました。
短点連続送信で測定。
2倍のスプリアス領域(14MHz)で 50dBc(1W を超え 5W 以下)以上なので、まずはひと安心です。
取り扱い方法
ドキュメントが中国語なので・・・実際にダミーを繋いであれこれやってみました(メモです)。
〇 電源オフ時に周波数を記憶(次回電源投入時に記憶した周波数で7セグ表示)
〇 パドル、電鍵の接続は自動認識
・電源投入時はエレキー動作(パドル接続でエレキーとして動作)
・2極のモノラルプラグを接続して電源投入で、以後、マニュアルキー使用可能
(プラグのリング部が GND に接続された状態を検知することで自動認識)
〇 エレキーはメモリキーヤーではない
(これ、致命的。外付けで Arduino CW Keyer など使う必要あり。)
〇 SW オン時のモード設定
2_01 ~ 2_25(デフォルト:15) | 送信スタンバイ時間 |
3_01 ~ 3_25(デフォルト:05) | エレキー速度(数字小で速い) |
4_01 ~ 4_25(デフォルト:18) | トーン周波数 |
5_00 | 自動 CQ コールサイン設定 |
6_33(デフォルト:33) | 25MHz(PLL)のオフセット、100Hz 単位 |
ということで、今日はここまでです。
内容など記述に間違いがあれば、その都度で修正することにします。
次にこのキットに関わるとしたら、ケース加工と、10~100W のリニアアンプの製作、免許申請とかになるでしょうか。
(2021/03/05 追記)
RIGOL DSA815 で測定した結果を参考までに掲載しておきます。
(製作終了時の画面キャプチャを失念したのが気になって、今日、改めて再測定しました。)
連続送信で測定。
帯域外領域で 50dBc 以上あるので、OK です。
スプリアス領域も 50dBc(1W を超え 5W 以下)以上なので、セーフです。
今日の測定では、第3高調波の 14MHz が目立ちました。