JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

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電波の方向探知について ⑤ ~ アルインコ DJ-G7 による電波探索 ~

これまでの記事では、安価な中華製無線機「UV-K5」を利用して盗聴器を探索する方法についてご紹介してきました。今回はその視点を少し変え、より高性能なアマチュア無線機「DJ-G7」を活用し、広帯域受信機能を駆使して電波の送信源を探し出す方法についてお話しします。

DJ-G7 は、電波探索において非常に優れた機能を備えており、特に「発信器探索機能」や「盗聴器発見機能」といった便利なツールが搭載されています。これらの機能により、送信源を効率的に特定することが可能で、探索作業の精度や利便性が大きく向上します。この点を踏まえると、DJ-G7 は中華製無線機 UV-K5 と比較しても、性能や使い勝手の面で明らかに優れていることが分かります。

本記事では、それらの具体的な使い方や利便性を詳しく解説します。

DJ-G7の基本性能と電波探索機能

アルインコのハンディ機「DJ-G7」は、アマチュア無線家の間で非常に高い人気を誇る名機です。このモデルはすでに販売が終了しているため、現在では中古市場でしか手に入れることができません。それにもかかわらず、販売終了後も無線愛好家たちからの支持は衰えることがありません。その理由は、DJ-G7 が提供する「高い性能」と「優れたコストパフォーマンス」にあります。

1. 対応周波数帯

DJ-G7は、0.531 MHz から 1300 MHz までの幅広い周波数を途切れることなく受信できる、完全な広帯域受信機です。これにより、アマチュア無線の V/UHF 帯(144 MHz、430 MHz、1.2 GHz)の運用はもちろん、以下の用途でも活用できます。

  • FM ラジオ放送の受信
  • エアバンド(航空無線)の受信
  • 各種電波のモニタリング

この広帯域受信機能のおかげで、アマチュア無線の枠を超え、さまざまなシーンでの利用が期待できます。特に、災害時には重要な情報を得る手段としても役立つはずです。

2. 多機能性

DJ-G7は、アマチュア無線機としての通信機能だけでなく、電波探索に特化した以下の機能を搭載しています。

  • 発信器探索機能
    電波の送信源を効率的に特定できる機能で、アマチュア無線の「Fox ハンティング」や ARDF(電波方向探知競技)でも活用できます。
  • 盗聴器発見機能
    よく利用される盗聴周波数があらかじめ登録されており、盗聴器の探索を簡単かつ直感的に行うことができます。

これらのユニークで実用的な機能により、アマチュア無線の楽しみが一層広がるだけでなく、日常生活における電波探索やセキュリティ対策にも応用可能です。

3. 携行性

DJ-G7 には、充電式のバッテリーパック以外に電池パックが標準で付属しており、災害時や緊急時における携帯無線機としても使用できます。3 バンド対応の高性能無線機でありながら、販売当時の価格は非常に手ごろだったため、多くのアマチュア無線家から「コスパが高い」と評価されていました。この優れた携行性と実用性は、現代でも大きな魅力といえるでしょう。

4. 中古市場での高い評価

販売が終了してから年月が経った現在でも、その性能の高さから DJ-G7 は中古市場で高値で取引されています。

■ ■ ■

今回特に注目したいのが、DJ-G7 に搭載されている「発信器探索機能」と「盗聴器発見機能」です。これらの機能は、他のハンディ機にはあまり見られない特徴であり、電波探索をより効率的なものにしてくれます。

以下では、これらの使い方について詳しく解説していきます。

取説抜粋

「発信源探索機能」と「盗聴器発見機能」に関する項目を取扱説明書から抜粋しました。



発信器探索機能

DJ-G7 には、発信源を探し出すための「発信器探索機能」が搭載されています。この機能を使えば、送信源に近づくほど受信信号の強さを直感的に把握できます。具体的な動作は以下の通りです。

  • 基本操作
    発信器探索用の周波数は、専用のメモリバンク(TSF バンク)に登録します。探索中は、S メータの強度に応じてビープ音が鳴り、送信源に近づくほどビープ音の間隔が短くなります。これを利用することで、送信源を効率よく特定可能です。
  • Fox ハンティングや ARDF にも活用可能
    この機能は、アマチュア無線の Fox ハンティングや ARDF で応用できます。受信音の変化を頼りに送信源を効率的に追いかけることができます。
  • 受信音の同時確認
    TSF 機能を使用中は受信音を聞けなくなりますが、DJ-G7 はデュアルバンド対応なので、もう片方のバンドに目的の周波数をセットしておけば受信音をモニターすることも可能です。

さらに、DJ-G7 に内蔵されている「ATT(アッテネーター)」を活用すれば、受信感度を調整しながら効率的に探索を進めることができます。このアッテネーターは、最大で 15 dB まで信号を減衰させることが可能です。そのため、外付けのアッテネーターを別途準備する必要がなく、強い信号を抑えながら微弱な信号を探し出す際に役立ちます。

また、以前紹介した「オフセット・アッテネーター」などの外付け機器と組み合わせて使用することで、より精度を高めることができます。特に、送信出力が小さい送信源を特定する場合には、これらの機能を組み合わせることで探索がスムーズに進むはずです。

盗聴器発見機能

もう一つの特徴的な機能が、盗聴器を発見するための「盗聴器発見機能」です。この機能は、盗聴器が使用される可能性が高い 20 の周波数があらかじめ専用のメモリバンク(BUG バンク)に登録されており、それを利用します。

  • 盗聴周波数への対応
    メモリバンク「BUG」にプリセットされている周波数は以下の表にとおりです。ただし、これらの周波数は固定で、新たな周波数を追加する際は別のメモリバンクに登録する必要があります。
  • 2 つの動作モード
    • サイレントモード
      信号を受信するとスピーカーから音を出し、盗聴器にハウリング(盗聴器が近くにあると、受信機から流れる音が盗聴器のマイクに入り、再び受信機に返ってくるため、「ハウリング現象」が起こります)を起こさせて発見を容易にします。受信感度は 5 段階(感度:1低→5高)で調整可能です。周囲に気づかれたくないときに有効です。
    • サウンドモード
      DJ-G7 本体から音を発信し、それを盗聴器が拾って再送信することで、その時間差から、盗聴器の位置を特定する仕組みです。この機能は、音声とディスプレイ表示を使って位置を視覚的・聴覚的に把握することができます。

なお、登録されている 20 波の中には、「盗聴 6 波」と呼ばれる 139.940 MHz(C ch)の登録はありませんので、利用時には注意が必要です。

以下、DJ-G7 の盗聴器発見機能に登録されている周波数(20波)

チャンネル 周波数 (MHz)
000 398.605(A)
001 399.455(B)
002 139.970(A)
003 399.030(C)
004 400.000
005 397.250
006 140.000(B)
007 399.605
008 398.640
009 134.000
010 399.250
011 399.000
012 134.900
013 139.960
014 139.600
015 149.000
016 361.825
017 320.235
018 320.675
019 321.135

 

盗聴周波数は、この DJ-G7 にプリセットされている 20 波だけに限られません。あくまでこれらの周波数は、盗聴器でよく利用されている代表的なものに過ぎず、実際にはそれ以外の周波数でも使用されている可能性があります。盗聴器が利用する周波数は非常に多岐にわたり、無数に存在しているのが現状です。

そのため、電波探索を行う際には、プリセットの周波数だけに頼るのではなく、広い視野を持って探索することが重要です。新たに発見された周波数や、自分の環境で疑わしい周波数を見つけた場合は、DJ-G7 の他のメモリバンクに登録して対応範囲を広げることをお勧めします。

電波探索は慎重かつ丁寧に行い、どのような周波数が使われている可能性があるかを常に意識して取り組むようにしてください。

番外編:DJ-G7 のメモリ編集ソフトを活用する

DJ-G7 には、膨大なメモリバンク(1000chまで、最大50バンク)を編集するためのソフトウェアが提供されています。このソフトウェアはアルインコの公式サイトで無償配布されていますが、パソコンと接続するためには別途、専用のケーブル(ERW-7)が必要です。このケーブルは約 5,000 円とやや高額だったので、私は手持ちのシリアル変換モジュールを使って作りました。

シリアルケーブルを自作する際に特に注意が必要だったのは、DJ-G7 のイヤホン・マイク端子が防水仕様で、3.5 mm のプラグがねじ込み式になっていることです。そこで、同じ仕様のプラグを扱う業者をネットで探しましたが、見つからずケーブルごと製作することはできませんでした。そのため、結局は変換コネクタ(EDS-14)だけを Amazon で購入しました。

登録されている盗聴周波数を表示してみました。

まとめ

DJ-G7 は、アマチュア無線の V/UHF 帯での運用にとどまらず、FM 放送やエアバンドの受信、さらには盗聴器探索など、さまざまな用途で活躍する万能なハンディ機です。その高い性能と多用途性、そして使いやすさから、販売終了後も多くの無線愛好家たちに支持され続けています。

特に注目すべきは、広帯域受信機能や発信器探索、盗聴器発見といった独自の機能です。これらを活用することで、単なる通信手段としてだけでなく、無線をより多面的に楽しむことが可能になります。これらの優れた性能を総合的に見ても、中華製無線機「UV-K5」とは一線を画する完成度の高さが感じられます。DJ-G7 は、まさにアマチュア無線家にとって理想的なハンディ機といえるでしょう。

最後に、アマチュア無線家のニーズを真摯に捉え、DJ-G7 のように高性能かつコストパフォーマンスに優れたハンディ機を、もう一度利益を度外視して開発・販売していただけることを心より願っています。そして、このような名機が、無線の楽しさを次世代へ引き継ぐ大きなきっかけとなることを期待しています。