昔ながらのアマチュア無線では、世界中のハムと交信して QSL カードを集めたり、アワードや DXCC を追い求めるのが一般的でした。しかし、残念ながら今どきのハムは、そういったアマチュア無線の楽しみ方から遠ざかっているようです。
V/UHF あたりをワッチしていても、「HF で DX をやっているんです。今、DXCC は 〇〇 エンティティです」と話題を振っても、「海外との交信はやっていません。カードは JARL で大丈夫ですか」と、DXCC にはまったく興味を示さないことがあります。
(不思議と、ハムになったばかりの人は、カード交換だけは絶対に必要だと思っています。)
もしここで、「それはすごいですね。私は 〇〇 エンティティです」「今、〇〇 ペディションに向けて新しいアンテナを探しています」といった会話ができれば、お互いの DXCC 熱は燃え上がり、より厳しいエンティティを追い求めるための技術や運用テクニックなどの情報交換ができるでしょう。
しかし、今のハムは無線の話題にすら興味を持たないことが多いのです。
子供も大人も同じで、自分のコレクションや作品を誰かに自慢したいし、そして凄いと言ってほしいものです。ハムは年齢や性別、職業、役職など関係なく楽しめる趣味ですが、それは無線機やアンテナの話だけで通用するからなのです。
しかし現在は、無線が好きだけでハムになる人は本当に少数派になっています。
そのような状況で、無線だけで盛り上がれる時代ではなくなり、会話のスキルも一般社会で求められるものと同じレベルが必要とされ、社会環境の変化や価値観の多様化に合わせた柔軟な会話が重要になっています。

で、今こそ「アマチュアコード」を強く意識した運用が必要なんじゃないかと思っています。
アマチュアコードとは、以下の5つの要素からなります。
- 良き社会人であること
- 健全であること
- 親切であること
- 進歩的であること
- 国際的であること
交信相手が「大 OM」さんで、ついつい世間が言うところの老害じいさん特有の強健さがちょっとでもでようものならそれだけで若い人は引いちゃうし、逆に若い人は若い人で年配者に対してそれなりの敬意を払った会話ができなければ、今度はじいさん達が心を閉ざしてしまいます。
今どきのハムの会話には、ホント洗練されたコミュニケーション能力が求められています。
ハムで楽しむ会話に年齢や性別なんてまったく関係はありませんが、絶対に必要なのが大人としてのコミュニケーション能力、これ、ただひとつです。
さらに、無線では声だけでコミュニケーションを取るため、声色や抑揚、話す速度なども大切で、相手の顔が見えないことも重なって、なかなか肩の力を抜いて話せやしません。
と、そんなことを考え始めちゃうもんだから、わたしのような人見知りのメンタル弱者は、なかなかフォーンで電波を出せずにいます。
ハムに関する話題なら多少は長話しもできますが、そのハムとしての共通項が見つからなかったりしたら、もうそれこそ会話は続かず、気まずい思いで、ハイ終了です。
東京の V/UHF の閑古鳥状態や、CW を含めた HF 全般でのショート QSO ばかりなのは、実はこういうコミュニケーションの難しさに関係してるんじゃないかと思っています。
だからといって、初めて話しをする人と、野球や政治、経済、社会のニュースを話題にするのもどうかと思います。こういう話題はとってもデリケートで、相手に不快感を与えずに、しかも楽しく会話するのはさらなる高度な会話力が必要で、わたしにはムリですね。
それでなくても、初めて話しをするんだから当然気は遣うし、言葉だって慎重に選びながら大人の振る舞いをするわけだから、趣味のハムをやってるというのに職場と同じ、いやそれ以上のストレスを感じちゃう(これじゃ、本末転倒だ)。
ホントなら、"趣味のハム" だけで盛り上がれたら、日頃のストレスからも解放されるんですけどね。
それと、ハムの交信は一般の会話ではあり得ない、話すことと聞くことが完全に分離したシンプレックスの片側通行(独り言のように話すって、違和感あるよね。)なので、この一方向の通信で、興味のないことを何十分も一方的に話されたりしたら、これはこれでたまったもんじゃありません。もうそれは苦痛以外のなにものでもないですから。
こんなことが何度か続いたら・・・「もう、交信するのはシンドイ」ってなるし、マイクを握る回数も減っていきますよね。
すでにそうなっちゃた人も大勢いるような気がするなぁ。
今、ハムになるための条件があるとすれば、単に無線が好きだけではなく、「コミュ力が高くて、話し好き」ってことが重要だと感じています。

実は、ここから先が本当は言いたいことなんです。
ハムを長く楽しんでいる私から見て、アマチュア無線はコミュニケーション力を磨くのに最適な場だと感じています。様々なジャンルの人たちと気軽に交流できることは、この趣味の魅力のひとつです。
ハムにはコールサインが必須で、それはまるで身元を明かしているのと同じで、インターネット上の匿名チャットとは違っていて、「極めてまともな会話」が期待できます。
これは、ホント大きなメリットだと思います。
アマチュアコードを厳守した、いわゆる "まとも" な人たちと会話ができる場は、もうアマチュア無線の世界にしか見当たらないんじゃないかと思うくらいです。
コミュニケーションスキルを鍛えるためのツールとして、アマチュア無線を始めてみるのも素晴らしい選択だと思います。学生や若い社会人、引きこもっている若者にも、アマチュア無線を強く勧めたいです。匿名で好き勝手に発言できるインターネットの世界だけではなく、アマチュア無線というまともな社交場で人と関わることは、確実に成長につながります。アマチュア無線を通じて新しい一歩を踏み出すきっかけになれば、本当に嬉しいですね。

・・・と、こんなことを思いながら。
わたしも、わたし自身のコミュ力向上を目指して・・・
V/UHF の FM で少し長めの交信でも楽しんでみようかと思ったりしている、今日この頃です。