7MHz LPF の製作です。
最初に作った LPF がダメダメで、もう一枚を最初から作り直しました。
ということで、失敗例と成功例を以下のとおり、記録として残しました。
まずは、失敗した LPF から
回路は、前回設計したものになります。
試作に必要な基板とパーツ類
基板:前に中華へ発注していたもの
トロイダルコア:T50-2
エナメル線(ポリウレタン銅線):φ0.6mm(余裕を見て 30cm×3)
コンデンサ:フィルムコンデンサ 100p×2、1000p×2、1500p×4(いずれも耐圧は 100V)
製作
コアの製作から。
T50-2 に 17回巻いたものを3個作ります。
巻き終えたコアのインダクタンスをチェックしておきます。
期待通りの値を示しました。
コアの先端処理は、エナメル線ストリッパー(DF-6)を使ってサクッと仕上げました。
こんな感じに配線しました。
特性測定
こういう BNC 治具を含めて校正した NanoVNA で、特性を確認しました。
LTspice のシュミレーション結果からもかけ離れていて、7MHz で挿入損失も -6.537 dB もあり、もうこれは絵に描いたような NG フィルタです。
こんなの使ったら、送信出力が 1/5 になるだけの、ただのアッテネータです。
挿入損失が -1dB 以内に収まるポイントが2メガとか下方にあるので、カットオフ周波数 fc の設定が誤ってしまったようです。
こんなダメダメなフィルタではありますが、中華リニアアンプのスプリアスがどのくらい低減するか気になってしまい、つい測定してみました。
QCX + 中華リニアアンプの構成で、出力を 60dB 減衰させて測定しました。
before
after
(2021/08/01 追記)
この測定結果は、正しくないことが判明しました。
これはフィルタのパーツであるコンデンサから煙が出てきて急遽測定を止めた時にキャプチャしたもので、LPF が壊れた状態で測定したものだと思っています。
なお、この画像は消去することなく、このまま備忘録として残すことにしました。
挿入損失が 6dB もあるアッテネータですからね・・・このコンデンサが爆発する寸前でした。
以上の問題を踏まえて、フィルタ作りの再チャレンジ
再チャレンジでは、カットオフ周波数 fc を少し高めに設定して、コンデンサの耐圧は 2000V と大きなものに変更しました。
以下、仕様です。
- 種別:チェビシェフローパスフィルター(π 型 の LC)
- カットオフ周波数:fc = 9MHz
- インピーダンス:Zo=50Ω
- 通過帯域リップル:0.5dB
- 素子数:7(パーツの数:C×4、L×3)
(RF-Toolbox Pro by iPhone)
(各パーツの値)
C1 | 614.46pF | 620pF (2000V) |
C2 | 933.12pF | 1000pF (2000V) |
C3 | 933.12pF | 1000pF (2000V) |
C4 | 614pF | 620pF (2000V) |
L1 | 1.11μH | - |
L2 | 1.19μH | - |
L3 | 1.11μH | - |
急遽のやり直しということもあり、パーツは手持ちのもので間に合わせました。
614pF → 620pF
933pF → 1000pF
1.11μH の巻数は 15回
1.19μH の巻数は 16回
最終的なLPF の回路は以下のとおりとなりました。
製作
毎度のことで、トロイダルコアの製作から。
いずれのコアも、設計通りの値をしましました。
コンデンサの容量もチェックしてみました。
いずれも公称値より低めで、むしろ設計値に近くて OK です。
今日2回目の製作なので、さすがに2枚目はサクッと巻いて、速攻で終わりました。
コンデンサの耐圧は、ガッツリ 2000V です。
特性測定
NanoVNA を使って測定します。
カットオフ周波数 fc も 8.9 MHz なので、まぁ設計通りです。
挿入損失も -0.45dB と優秀です。
ということで、使えるレベルの LPF ができました。
やっぱり、カットオフ周波数 fc の設定が誤っていたようです。
やれやれです。
ケース入れ & ラベリング
最後にケースに入れて終了です。
NG 基板と FB 基板を並べてみました。
ケースは、金属ケースの T8-4-5 にピッタリ収まります。
こんな感じになりました。
最後に、テプラでラベリングして終了です。
フィルタの諸元もラベリングしておきました。
最初に作った LPF の NG な原因ですが、これはカットオフ周波数の選定を誤ってしまったことが大きく、通過周波数+2メガ程度は必要だったと測定により気付きました。
最後にもう一度、上手くいった 7MHz LPF の回路を再掲しておきます。
製作をお考えの方は、こちらの回路をお試しください。
それと NanoVNA の活用を考えると、最初からパーツをハンダ付けせずに、基板のホールにパーツのリードを挿し込むだけにして、NanoVNA で特性を確認しながらカットアンドトライで値を決める、そんな方法で作っていけば今回のような失敗は防げたはずです。
という反省を踏まえながら、次回以降の製作に活かしていきたいと思います。
なお、この LPF を使っての中華リニアのスプリアス測定は、ムセンキや測定機器の準備が意外と面倒なので・・・もう、今日のところはこれ以上このフィルタに関わりたくないので、この続きはまた今度ということにします。