JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

スポンサーリンク

ローパスフィルタ(LPF)の製作 ⑤

挿入損失が大きく NG だった LPF 基板のコイルの Q 値を測定してみました。
NanoVNA  + NanoVNA Saver 0.3.9 使用

〇 挿入損失が -1.443dB(7MHz)の NG 基板の L1、L2、L3 の Q

f:id:JH1LHV:20210808113609p:plain
f:id:JH1LHV:20210808123732p:plain
NanoVNA の校正、ロードは 51Ω のチップ抵抗を使いました。
コイルの Q 値は、基板装着時と取り外し時で、変化なしです。


コイル ① の特性
f:id:JH1LHV:20210808113642p:plain
Frequency: 6.97512MHz
Series L: 1.0943μH
Quality factor: 8.193


コイル ② の特性 f:id:JH1LHV:20210808114107p:plain
Frequency: 6.97512MHz
Series L: 1.0894μH
Quality factor: 69.52


コイル ② の特性
f:id:JH1LHV:20210808114547p:plain
Frequency: 6.97512MHz
Series L: 0.950μH
Quality factor: 71.33

3個中1個(L1)が 8.193 であり粗悪品であることが分かりました。(L2、L3 は、約70)

〇 挿入損失が、-3.346dB(7MHz)の L1、L2、L3 の Q

L1 の Q =  8.6
L2 の Q =  6.7
L3 の Q =  8.3

挿入損失が -3dB 越えの基板のコイルの Q は、3個ともすべて 10 以下でした。

今回の測定により、挿入損失が大きくなる原因としてコイルの Q が大きく影響することが分かりました。今回のような 7次の LPF では3個のコイルが必要になりますが、そのいずれも Q として 70 程度はないと、挿入損失は -0.5dB 以下に抑えられないんじゃないかと思います。

これまで作った2つの LPF で使ったコイルのトロイダルコアですが、これは中華ショップ数か所から購入したもので、今手元に 70 個近く所有しています。それで、これらのすべてのコアはひとつの袋に入れていて、どこのショップで買ったものなのか、まるで区別がつかない状態です。Q が 10 以下の粗悪品は1ショップのものなのか、それとも1ショップで買ったコアのバラツキが大きく、良品と粗悪品がごっちゃになって混じっていたのか、今となってはさっぱり分かりません。とはいっても、粗悪品をこのまま保管しておくわけにはいかないので、近いうちにエナメル線をなんターンかさせて Q を測定して、粗悪品を見つけだし、そしてそのすべてをゴミ箱へポイしようと考えています。

〇秋月電子で購入したトロイダルコア(T50-2)で試作し、特性を調査

秋月電子から購入したコアは、ひとつが高価ですし、それにひとつずつ小袋に入っているので、そのまま別にして保管していました。ホント、中華から購入したコアと一緒にしなくてよかったです。

さて、秋月電子の T50-2 は、どうでしょう。

f:id:JH1LHV:20210808123627p:plain
上段の明るい赤色のコアは、中華から購入したもの。@15円程度の安物です。
下段は秋月電子で購入したもので、@140円です。

f:id:JH1LHV:20210808124930p:plain
最近、コイルばかり作っているから・・・エナメル線ストリッパーが大活躍なんです。

f:id:JH1LHV:20210808124914p:plain

f:id:JH1LHV:20210808130142p:plain


コイル ① の特性
f:id:JH1LHV:20210808121524p:plain
Frequency: 6.97512MHz
Series L: 1.0509μH
Quality factor: 82.05

コイル ② の特性
f:id:JH1LHV:20210808121537p:plain
Frequency: 6.97512MHz
Series L: 1.212μH
Quality factor: 81.9

コイル ③ の特性
f:id:JH1LHV:20210808121552p:plain
Frequency: 6.97512MHz
Series L: 1.0443μH
Quality factor: 69.63

秋月電子で購入したコアで作ったコイルの Q は、いずれも 70 から 82 あり、流石というか・・・
安定の透磁率です。

L1 から L3、通しの Q 値も調べてみました。

f:id:JH1LHV:20210808130657p:plain
特性のキャプチャをミスってしまって画像は掲示できませんが、Q は 76 ありました。

コンデンサを装着して、LPF 全体の特性も調査しました。

f:id:JH1LHV:20210808131500p:plain
コイルとコンデンサはハンダ付けせずに、リードを挿し込んだだけで測定しました。

f:id:JH1LHV:20210808131511p:plain
挿入損失:-0.311dB
VSWR:1.050
14 MHz における減衰量:-52.204dB

f:id:JH1LHV:20210808133403p:plain

これまで作った2台の LPF の挿入損失は、それぞれ -0.45dB と -0.37dB で、秋月電子のコアで作った LPF の -0.311dB とそれほど違わないので、ケースに収めることは止めました。

ということで、LPF 作りにおける挿入損失は、トロイダルコアの品質によるところが大きいことが分かりました。

私が好んで使用する中華パーツですが、安さがこういうところに影響を与えてしまい、結果的に解決までにムダな時間を費やしてしまいました。まぁ、ハムの工作なんで、一発ですんなりと期待値が得られるよりも、こういうムダな時間こそが成長できる機会じゃないかと、強がったりもしています。

今回、中華パーツでずいぶん遠回りしましたが、貧乏ハムとしてはこれからも中華パーツは使い続けると思います。今どきは NanoVNA や tinySA などの測定器も安価で入手できるので、こういった測定器の力を借りながら、中華の品質不明のパーツを使っていくのもハムらしいと思うし、ちゃんと測定器が使いこなせれば、今回のようなミスや手戻りも少なくなると思うし、それになにより技術力が向上するんじゃないかと思っています。

今、この記事を書きながら・・・更に LPF を作っています。
少し大きな出力(100W?)でも耐えられるように、T68-2 のコアに φ1mm のエナメル線を使ってコイルを作っています。
まだまだ LPF 作りは続きます。。。