記事 ① から ⑤ で作ってきた LPF の耐久力をアップする試みです。
コアをひと回り大きな T68-2 に変えて、エナメル線も φ1mm で巻き直し、最初から作り直しました。
回路はこれまでと同じですが、トロイダルコアの変更により、巻数 T を修正しました。
L1、L3 の 1.11μH → 14回
L2 の 1.19μH → 14回
T68-2 のコアを使った回路は、以下のとおりです。
T50-2 と比べて、エナメル線の巻数は 1,2回ほど少なくなります。
コイル作成
今回使う T68-2 と T50-2 の大きさの比較です。(T68-2 は、秋月電子で購入)
コアにエナメル線を巻いたあと、NanoVNA でコイル単品の Q 値を測定しました。
L1 = Q = 85.18
L2 = Q = 81.27
L3 = Q = 87.8
挿入損失、減衰量を測定
コイルはハンダ付けして、コンデンサはリードを差し込むだけで測定しました。
結果、設計どおりの値がベストでした。
7MHz における挿入損失は -0.310dB、14MHz における減衰量は -53.660dB です。
ただ、VSWR は 1.301 と少々高めです。
この T68-2 の基板を、前回ケース入れした T50-2 の LPF と差し替え。
更に T68-2 で、もう1枚作成。
秋月電子で購入したトロイダルコアの Q は、コンスタントに 80 以上ありました。
イッパツで成功させたいなら、コアは信頼あるところから買うのがイチバンですね。
2枚目の特性測定
7MHz における挿入損失は -0.350dB、14MHz における減衰量は -53.831dB です。
ただ、VSWR は 1.324 と、少々高めです。
透磁率がまとまな良品なコアに、エナメル線を必要回数巻いてコンデンサを取り付ければ、まぁ、設計どおりの特性にバラツキの少ない LPF は作れるんだと、今回の一連の作業をとおして実感しました。
2枚目の基板もケースに入れる。
この2枚目の基板も、先日作った LPF のケースをそのまま再利用しようと試みたんですが、BNC コネクタに角座を使ったせいで基板を外すのがシンドそうだったので、最初から新しいケースで作ることにしました。
この数日で3個目のケースの穴あけなんで、もう手慣れたもんで・・・
多分、基板を外して新たに取り付けるより、トータル時間は短く済んだんじゃないかと思います。
金属ケースの T8-4-5 にカツカツの基板なんで、もう、収めるのが大変で。。。
ケースに蓋をして、NanoVNA をこの測定環境で再校正して、再度特性を確認しましたが、同じでした。
今回の T68-2 の LPF 2台(下)と、前回作った LPF(上)の3台を並べてみました。
一応、100W PEP とラベルしましたが、これについては本当に耐えられるか、今のところは不明です。
2台直列に接続して特性チェック
7MHz における挿入損失は -0.655dB、14MHz における減衰量は -81.142dB、VSWR は 1.43 です。
ただ・・・2台直列にしたら、通過帯域のリップルの谷が 8MHz 付近で目立ってしまい、7.2MHz 付近では VSWR は 2 程度と、悪くなってしまいました。
このリップルの谷を避けるには、設計時の通過帯域リップルの値をもっと小さくするか、実際に電波を発射する周波数付近でリップルの山がくるように実測しながらコンデンサの値をカットアンドトライで選ぶとか、そういう少々面倒な方法をとれば、よりベターな特性は得られるはずなんですが・・・。
ということで、今日はここまでですが、近日中に中華リニア(50W)のスプリアスの確認と、実際にパワーを出した時にコンデンサがどんな状態になるのか、センサーを使って温度管理を行いながらチェックしてみようかと思っております。
ローパスフィルタ、やればやるほど・・・沼の深みにハマっていってるような・・・
そんな、嬉しい悲鳴です。。。