JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

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ローパスフィルタ(LPF)の製作 ①

7メガ(40m)のローパスフィルタの試作です。
試作するフィルタは、ハムのスプリアス対策で一般的な、”チェビシェフフィルタ” となります。

そして、今どきは小難しいフィルタの理論を知らなくても、パソコンのソフトで各パーツの値は簡単に計算できますので、今回はそういうお手軽な方法でサクッと作っていくことにします。

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今回は、この回路の LPF を作っていきます。

はじめに

ローパスフィルタには、”バターワースフィルタ” と、今回試作を行う "チェビシェフフィルタ" があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。

バターワースフィルタ

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ロールオフ(切れ)は緩やかで、通過帯域と阻止帯域のリップルが小さい。(数学的には平坦です)

チェビシェフフィルタ

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ロールオフ(切れ)は急峻で、通過帯域と阻止帯域のリップルが大きい。

このチェビシェフフィルタは、ご覧のようにフィルタの切れもよく、しかもカットオフ周波数を超えると鋭い減素量が得られ、更に π 型は前段に与える影響も少ないため、ハムのスプリアス対策の LPF として多用されています。
 

製作するフィルタの定数を求める 

今回試作するフィルタの仕様は、以下のとおりです。 

  • 種別:チェビシェフローパスフィルター(π 型 の LC)
  • カットオフ周波数:fc = 7.5MHz
  • インピーダンス:Zo=50Ω
  • 通過帯域リップル:0.5dB
  • 素子数:7(パーツの数:C×4、L×3)

フィルタに必要な各パーツの値は、iPhone、iPad アプリの "RF-Toolbox Pro" を使って求めました。
このアプリだけで、フィルタの計算からトロイダルコアの巻数までを簡単に求めることができるので大変便利です。 

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(RF-Toolbox Pro 起動時の iPad 画面)


アプリを起動し、"Chebyshev" から計算に必要な条件を入れるだけです。 

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計算では下のグラフのような減衰特性になるみたいです。
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(各パーツの値) 

C1 737.35pF 1500pF ×2 直列 = 750pF
C2 1120pF 1000pF, 100pF 並列 = 1100pF
C3 1120pF 1000pF, 100pF 並列 = 1100pF
C4 737.35pF 1500pF ×2 直列 = 750pF
L1 1.34μH -
L2 1.43μH -
L3 1.34μH -


コンデンサはフィルムコンデンサとし、現在手持ちの 100pF、1000pF、1500pF の3種の組み合わせで近似値を作りました。

LTspice でシュミレーションもしてみました。

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計算では7メガの2倍で -60dB あります。
実際もこうなってくれたらありがたいのですが・・・さて、どうなるか。

それと、この1段だけで希望のスプリアス減衰が得られなければ、更にもう1段継ぎ足して2段にしようかと思っているので、こちらの方も取りあえずシュミレーションしてみました。

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2段構えにすると、7メガの2倍の周波数で 120dB 以上の減衰はありますが・・・
そうそう上手くいくとは思いません。。。
 

トロイダルコアの巻数(まきすう)を求める

今回の試作では、T50-2 のコアを使いました。

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コアの枝番は、周波数範囲を示しています。
実際の製作では、製作するフィルタの周波数に合った枝番のコアを選択する必要があります。
 

枝番 周波数範囲
0(褐色) 100 ~ 300MHz
1(青) 0.5 ~ 5MHz
2(赤) 2 ~ 30MHz
3(鼠色) 0.05 ~ 0.5MHz
6(黄) 10 ~ 50MHz
7(白) 1 ~ 25MHz
10(黒) 30 ~ 100MHz 
12(緑/白) 50 ~ 200MHz
15(赤/白) 0.1 ~ 2MHz
17(青/黄) 40 ~ 180MHz
26(黄/白) -


L1、L3 = 1.34μH の巻数を求める。
タイプ、材質を選択し、先のインダクタンスを入力するだけで、巻数は求められます。

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巻数 = 16.5 = 17回

L2 = 1.43μH の巻数を求める。
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巻数 = 17.1 = 17回 

L1、L2、L3 の巻数は、17回に決定です。

そして、最終的な LPF の回路は、以下のとおりとなりました。

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ということで、このまま実際の製作に入る予定だったんですが、もう今日のところはここまでで疲れてしまいました。

今回導き出したこの回路は、またの機会に組み立てることにします。
そして、どれだけスプリアスが減衰してくれるのか、実際に実測してみようと思います。
引き続き、閲覧のほどよろしくお願いいたします。