JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

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モールス、「略体数字」は国内だけで通用するものなのです!

430MHz のワッチから。

FM モードでチャンネルスキャンしていたらモールス音が聞こえてきたので、スキャンをストップしてしばらく狸ワッチさせていただきました。

なにやら、ローカルと FM で通話しながら、7メガでコンテストに参加してる局をコールしてるよう。

 

さっき、7.015MHz の局と交信したんだけど、全然コンテストナンバーを送信してこないんだよね。
無線機の解読機能がダメなのかなぁ、信号はものすごく強いんだけど。
○○さんのとこの無線機でも解読してみてよ~。
もう一度呼んでみるからさぁ・・・ 

は~い、了解。
周波数も合わせたし、解読準備も OK だよ。
それじゃぁ呼んでみて・・・ 

ね。やっぱり送信してこないでしょう。
解読表示は5NNとあるんだけど、その後のコンテスナンバーを送信してこないんだよね。
○○さんとこの解読はどうだった? 

了解。
こっちの解読でも5NNとしか表示されてないよ。
変だよね・・・ 

と、会話の内容はザックリこんな感じ。

私、モールス好きなもんで。
ワッチしててモールスが聞こえてきたら、もう反射的にスキャンを止めて会話聞いちゃいますよ。

スピーカ越しに聞こえてきた、その HF のモールス。
相手はしっかり 5NN の後に、コンテスナンバーを送信してました。

ちゃんと、「R 5NN AT TU」って。

で、この 5NN の N と AT なんですが、これは「略体数字」といって、数字の符号を短くしたもんなんですよ。

ちなみに、5NN AT の後に続く TU は、Thank you の略符号です。

ということで、FM で交信していた両局の無線機には、しっかり 5NN AT って表示されていたと思います。

R 5NN AT TU → R 599 10 TU ということ。

まぁ、3アマ試験には、数字の略体なんて出題されませんからね。
知らなくてもなんら不思議じゃないんですけど。

 

モールスの「略体数字」


日本のモールス符号の数字には、「数字の略体」という短く省略された符号があります。
そしてこの符号は、「日本固有の符号」ということも知っておく必要があります。
 

(数字の略体)

文字 符号
1 ・-(Aと同じ)
2 ・・-(Uと同じ)
3 ・・・-(Vと同じ)
4 ・・・・-
5 ・・・・・
6 -・・・・
7 -・・・(Bと同じ)
8 -・・(Dと同じ)
9 -・(Nと同じ)
0 -(Tと同じ)


この数字のモールス符号を短くした略体数字ですが、これは船舶局と海岸局で交わされた電報の送受信の日時や、受信した電報文の照合などといった、ごく限られた場面でのみ使われたもので、あらかじめルール化されています。

和文電信の電報だけで使われるものであって、欧文で使われることはありません。

ハムはプロと違って趣味の世界なので、ある意味なんでもあり。
599 を  5NN と省略するのは、ハムだけで通じるローカルルールってところでしょうか。

それと、英語の Wikipedia や、ARRL の資料を見ても、どこにも日本で使っているこの「略体数字」の記述は見つからないことも申し添えておきます。
 

f:id:JH1LHV:20200717200745j:plain

Morse code - Wikipedia より転載)

International Morse Code では、数字といったらこれだけなんです。
もちろん、世界の CW'er が使う略号の中にも、5NN なんて登録はありません。

とはいっても、海外の DX 局の中にも「R 5NN K」のように、数字の9を略体の 9(N)に省略して送信する局もいます。

まぁ、海外のハム局であっても、RST リポートの 5NN までは運用上の慣習として使っているにしても、その後に続くコンテスナンバーまで略体数字になっているとは思わない、そういう今回の FM 局のようなハムもいるので注意が必要です。

と、こういうことからも、国内外問わず CW の運用では International Morse Code を使うよう心掛けるべきと思います。
 

(参考:略体数字が使われる電報文「額表」)

ちなみに、額表の受付時刻の「セ」は午前を、「コ」は午後を表しています。

 

■ ■ ■

 

メーカ製の無線機に付いてる解読機能。

国内運用オプションでも付けて、こういう日本固有の略体数字も文面を推定して適切に表示してくれたらいいと思うんだけど。

コンテストのような定型的なナンバー交換程度なら、今どきの AI 機能で実現できそうな気がするけど、まぁ世界中で販売する HF 無線機にこういう日本固有の略体数字の解読機能を実装するのもそのユーザ数を考えたらムダなのかな。

無線機の解読機能だけを頼りに交信しているハムは、ほぼほぼ 5NN BK のサービス局との交信ばかりだと思うんです。

R と 5 が来たらその後に続く符号は略体数字も含めて、5N(9)N(9)A(1)T(0) とか、カッコを付けて表示するくらいの改修ならすぐできると思うけど・・・

どうせ解読機能つけるんだったら、今一歩、CW 初心者に優しい機能にしてほしいよね。


で、最後にもう一度。

HF はどこまで飛ぶか分からないんだから、たとえ国内 CW 交信であっても、もう 5NN と送信するようなことは止めて、ちゃんと略さず 599 と送信した方がいいんじゃないかと、そんなことを思っている今日この頃です。