JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

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中華製「ハンダ吸取器」~3台目~

ハンダ吸い取り器については、当ブログではこれまでにいくつかの商品を紹介してきましたが、懲りずにまたまた新たな商品を購入してしまいました。

 

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30W 220V 50Hz Electric Vacuum Solder Sucker /Desoldering Pump / Iron Gun on Aliexpress.com | Alibaba Group


ハンダ付けって、失敗することって結構ありますよね。

「あっ!このパーツここじゃなかった・・・」
「ここの回路は、違うパーツの方がよかった・・・」なんてね。

どんなに慎重にハンダ付けしても、このようなミスや変更は避けられないもので、それならばことが起きたときのリカバリーを充実させることが大切じゃないかと、あれやこれやと考えて幾年月。。。

ネットのショップで何か面白そうなモノはないかと物色していても、この手のハンダ吸取りモノにはことさら敏感になっていて、それこそ新たな商品を見つけてしまったら最後、後先なしに過剰反応を起こして、ついポチってしまいます。

「新しく出てきた商品なんだから、これまでよりも優れてるよね ・・・」などと勝手に思い込んで、価格も微妙で貧乏ハムでも買えそうだったりすると、もうこの手で試したくなってしまいます。

吸い取り器といえば、その字ずら通りに「吸い取る」ということがメインの仕事なわけで、この吸い取る性能こそが重要なポイント。

ハンダを溶かせるだけの温度があるのは当たり前で、私としては溶けたハンダをしっかり吸いとってくれる・・・「吸引力」こそが一番のチェックポイントなのです。
この吸う力が強ければ強いほど嬉しいわけで、「狙ったハンダを余すことなくしっかり吸ってくれる」そんな強力なものを探し続けています。

今所有しているものなんだけど、どれもがなんかイマイチの吸引力なんで。。。

これ、なんとなくの感覚的なことで、数字で表すことができなくて恐縮なんだけど、とにかく納得できる吸引力じゃないんですよ。

吸引力として、どの程度必要なのか定量的なところはまったくわからないけど・・・
ただただ、基板にガッツリ付いてるハンダを、ぜーんぶ吸い取ってくれればいいだけなんだけど。。。

最近の基板はスルーホールが多いので・・・なかなかパーツは外れませんからね。

結局は、吸い取り器でザックリ吸った後に、外したいパーツの両足に二股のハンダごてをあてながらピンセットを操りながらパーツを引き離してるので、猫の手も借りたいこともしばしばで・・・これが吸い取り器だけでポロリとパーツが取れたら最高でしょう。

 

現在使用中の「ハンダ吸い取り器」2台

S-933A(その1)
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www.jh1lhv.tokyo
 

ECG J-045-DS(その2)
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www.jh1lhv.tokyo

 

今回購入品 


で、今回購入したのは以下の中華ものです。

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30W 220V 50Hz Electric Vacuum Solder Sucker /Desoldering Pump / Iron Gun on Aliexpress.com | Alibaba Group

約 3,000円(配送料込み)

・プラスチック加工(筐体)が、とっても雑。
・ノズルは予備で1つ付いてます。

それと、本体と合わせて交換用のノズルも購入しておきました。

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6 Pcs/Lot Welding Tips 30W 220V 50Hz Electric Vacuum Solder Sucker Welding Desoldering Pump / Iron Nozzle Tips-in Welding Nozzles from Tools on Aliexpress.com | Alibaba Group

交換ノズル6個、590円(配送料込み) 

ただし、購入に際して注意することがあります。

取り扱っている商品は AC220V 用となります。
(このままでは日本で使えません!)

このような海外ものを日本で使うには、電圧昇圧コンバータを使って、AC100V を AC220V に昇圧する必要があります。

ということで、今回は以下の組み合わせで動作確認をおこないました。

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 使用方法は?


操作は簡単です。
赤ボタンを押した時に吸引して、ボタンを離すと吸ったハンダくずを外に吐き出します。
ということで、本体にクズはあまり溜まらないので、適当に掃除すれば大丈夫ということです。

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本体から先端部分は簡単に外せるので掃除は簡単にできます。
ほとんどのハンダは外へ放出されるので、この中に溜まるハンダは微量です。
 

吸引力は?


ボタンを押して吸引する時に「ボン」という結構大きめの音がします。
この音からしてしっかり吸ってくれるんじゃないかと妙な期待が高まります。

吸引力はどのくらいなのか触って確かめたかったのですが、電源を入れた後に触るわけにもいかずどうにも確かめようはありませんが、ボタンを放した際に感じる風圧だけは結構強いので、吸引力も同じように強いんじゃないかと思えます。

適当な紙片を重ねて横から風圧を与えてみたところ、結構な勢いで紙片は吹き飛んだので、まぁそれなりの強さはあるようです。

で、使用上の注意点なんですが、
ボタンを放した時にハンダくずは外へ噴射される仕様になっているので、作業中の基板上でやっちゃったら・・・もう最悪な状況になると思います。

部品だけ外して最後にポイする基板ならどうでもいいでしょうが、現用基板で障害修理中だったりしたら、飛散したハンダくずをすべてキレイに取り除くことなんてムリなので・・・状況によっては、ただのゴミ基板になってしまうこともあると思うので、ホント注意が必要です。


ボタンを放すと結構広範囲にハンダくずは飛び散るので、何か袋状のものを用意して、その中へ目がけて吐き出させるのがベストではないでしょうか。

 

ノズル先端の温度は何度?


ハンダを溶かすだけの温度がある。
これ、吸い取るための最低条件でしょう。

基板のランドにしっかり付いたハンダを溶かせなければ、吸い取ることは絶対にムリですから。

この、こて先の温度はホント重要でムシするわけにはいきません。

で、ハンダが溶ける温度はというと、これはハンダの種類によって溶け始める温度(融解温度)に違いがあります。
一般的に使われている「鉛入り共晶ハンダ」なら、その融点は 183℃。
「鉛フリー」なら、少し高くて、その融点は 217℃。

まぁ実際の作業ではあまり細かなことは考えずに、ハンダが溶ける温度はザックリ 250 ℃ と覚えておけばいいでしょう。

話をこて先の温度に戻しますが、こて先に必要な温度は母材へ逃げる温度も考慮しないといけないので、
  こて先温度 = 融解温度 + 100℃ = 350℃
くらいは必要で、これくらいないとハンダが溶ける 250 ℃ に到達しません。

ノズル(こて先)の温度が十分に高くないと、「ノズルを当ててる時間が長い割にはハンダが溶けない・・・ 」といった好ましくない状況に陥ってしまいます。

ハンダ付けの教科書やハンダごての説明書には、「ハンダごての温度は 340 ~ 360 ℃ に設定する」と、記述されてますが、まぁこういう理由なのだと思います。

 

実際に測ってみた 


実際にノズルの温度を測定してみました。
結果は、なんと 237℃。
残念ながら 10分 以上ヒートランして、この温度です。

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数値的にはハンダが溶け始める温度ですが・・・先の理由からしてもこの温度じゃ納得できません。
350℃ くらいはあるだろうと思っていたのですが・・・ホント、残念です。

ちなみに ECG J-045-DS も、先端温度は 232 ℃ なのでイマイチなんですよね。

この温度を測るために使ったブツも怪しかったりするので、温度調節ができるハンダステーションの方でも確認してみました。

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ステーションの温度を 340℃ に設定して、328 ℃。
まぁ合ってるんじゃないでしょうか。
ということで、今回購入した吸い取り器の 237℃ も、信用できるかと。

それで、今回はもう一つの吸い取り器 S-933A のノズルの温度も調べてみました。

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400℃ の設定で 383℃。
まぁこちらの方も合っていると思います。

それとこの S-933A ですが、340 ℃ ~ 450 ℃ まで温度調整が可能です。
ハンダの種別や基板の状況等に合わせた対応ができるところはとっても優れてます。

こて先の温度が 400℃ を超えると酸化(黒くなる)を加速させます。
マメに掃除しないと熱が伝わり難くなったりするので、やはり先端温度は 350℃ 程度に保つのがベストです。

 

使用感は?


実際に使ってみた感想としては、吸引力は所有しているものの中で一番強力じゃないかと思います。

ただ、ボタン一回の操作が単発動作ということで(当たり前ですが)、全て吸い取るまでに何度も繰り返す必要があります。

それからノズルの温度から考察してみると、

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①のハンダ山はノズル先端温度の 237℃ で溶けるので一発で吸ってくれますが、

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②のスルーホール内のハンダまで吸取るには、やはりもう 100℃ くらいは高い方がいいんじゃないかと思います。

ということで、
吸引力は強力なので申し分ないのですが、ノズルの先端温度が低いことが欠点かな。
あと、これはしかたないことなんだけど、単発吸引というのも、ん~~ですね。

とはいっても、手動のポンプ式よりは絶対にこっちの方がいいですよ。

ピン数が多いコネクタや DIP 型の IC ソケットを外そうとしたら、何度も吸取り動作を繰り返して、やっと外せるって感じ。。。

その点、S-933A は吸引力こそ静かですが優れてるかな。
ノズルの先端温度も自由に調整できるし、なにより連続で吸引できるので、吸引箇所を回転させながら吸い続けることで、ピン数の多い IC ソケットなんかも、まぁ難なく外せてしまいます。

 

最後に


今回の購入品と所有しているものを比べてみましたが、結局のところ、少しお金を掛けても S-933A のようなホンモノ(?)を選択した方がいいと思いました。

今後は S-933A と同じようなガンタイプで、「吸引力が強いもの」を探してみることにします。