表題のとおりで、TenaTesta のキットを入手して組み立ててみました。
TenaTesta は、ニュージーランドの ZL1CVD Chris Day 氏によって開発された、100KHz〜150MHz までのアンテナの SWR スイープと、RF 信号(高調波は 1GHz 超え)を発生させることができる、とっても小さな測定ツールです。
操作は3つのボタンで行います。
こんなに小さい。
〇アンテナアナライザ
- スイープ開始と停止の周波数を設定します。
- FWD、REV、SWR を表示します。
この時に1番低い SWR の周波数も表示されます。 - スイープデータは USB シリアルで送信できます。
通信速度は 11,520 bps
フォーマットは "f,FWD,REV,SWR" (FWD/REV = 0~1024)
〇 RF ジェネレータ
- 100kHz~150MHz の範囲を 100Hzステップで4つの出力レベル(約-3dBm~ + 3.5dBm)で調整できます。
- 高調波(1GHz を越える)が 1/8 波長から 7f まで調整できます。
この時に 4mA に設定すると SWRも表示します。
〇広帯域 RF パワーメータ
- 約 -15dBm から1dBm 程度まで入力できます。(500MHz を超えても正常に動作するらしい)
ただし、表示は dBm ではなく ADC 電圧で表示します。
※ 2023/10 某日、このサイトを訪問したところ、TenaTesta に関する情報はすべて消えていました。
TenaTesta の仕様
上記のウェブサイトから抜粋です。
こんなに小さいのに、こんなに色んなことができる・・・凄い。
開発者 Chris Day 氏の紹介 YouTube です。
TenaTesta で何ができるか知りたいなら、この YouoTube 動画をご覧ください。
さて、ここからは写真で綴る「組み立て経過」です。
箱が潰れることなくニュージーランドから到着です。
国内から届いたような綺麗な外装です。
箱を振ったら「カラカラ」音がしてたけど・・・これは、緩衝材を使ってないからだったんだ。
まぁキットだし、パーツが壊れていることはないとは思うけど。
パーツを広げてみたら、こんな感じ。
ここから、実際の組み立て作業になります。
まずはとっても小さな MSOP パーツの Si5351A クロックジェネネータからですね。
この MSOP チップのハンダ付けは、ヒートガンで行います。
MSOP の 10P ってこんなに小さい。。。
これを上手く付けられるかが、このキットの成功のカギになります。
慎重さがダイジだね。
クリームハンダは細めの注射針を使って適量を塗布します。
クリームハンダが塗布されたパターン上に Si5351A の足がピッタリ合うようにピンセットで合わせます。
このヒートガン作業は基本的に拡大スコープを使って作業します。
(わたしの肉眼では全く見えません。。。)
この 10P のパッド上に Si5351A をハンダ付けします。
スコープで拡大すると・・・こんなに大きいのに。。。
スコープ見ながらアームを機械制御してハンダ付けができたら・・・いいけど。
クリームハンダを塗布。
いちばん細い注射針使っても・・・このように量が多くなっちゃいます。
クリームハンダが邪魔してピンの位置決めが難しいけど、まぁなんとか。
ハンダが溶けて銀色になるまでブローします。
スコープの倍率をさらに上げて拡大して隣り合うピン同士が接触してないか確かめます。
一応、テスターでも導通の有無を調べておいた方がいいでしょう。
ショートしてたり、ハンダの量が多くて気持ち悪ければ「ハンダ吸取り線」で綺麗にしてあげます。
続いて表面実装タイプのクリスタルをブローします。
こいつも小さなパーツなのでヒートガンでやっつけます。
これくらいなら手ハンダでも付けられると思いますが、ヒートガンついでなので。
完全に手抜きですね。Hi
あとは大きなパーツばかりです。
パーツ数も少ないのでハンダ付け作業はすぐ終わると思います。
(そうそう、100KΩ の抵抗2本が不足してました。。。抵抗でよかった。。。)
それから、このキットには製作マニュアルらしいものは、何も付いてきません。
紙一枚入ってきませんでした。
ただ、注文後に開発者の Chris Day 氏から、ファームウェア(スケッチファイル)と、回路図、PCB 図面のダウンロード先 URL がメールで連絡がありました。
ということで、詳しい組み立てマニュアルはありませんが、YouTube やダウンロードした回路図や PCB 図面を見ながら手探りで製作することになります。
Arduino 互換の Pro Micro を基板に取り付ける前に、
ファームウェア(ino)が正常に書き込めるか確認しておきます。
1.8インチ TFT が基板の上に乗るので Pro Micro は直付けする必要があるため、基板にハンダ付けする前に Pro Micro 自体が壊れてないか確認しておきます。
スケッチの書き込みで注意することは、幾つかの動作に必要なライブラリを所定のlibraries フォルダに置くことで、Si5351 のライブラリは v1.1.2 以外は使えないので注意してください。
まぁ、これが一番の注意点です。
この v1.1.2 を使います。
Arduino 1.8.2 の IDE 最新バージョンでも、このとおりコンパイルできました。
ボードは "Arduino Leonardo" を選択します。
2ch 分の出力が使えるように3Pのピンヘッダと、
1.8インチ TFT を取り付けるための8Pのピンソケットは手持ちのものを使いました。
(キットにはソケット類の添付はありません。)
TFT を挿した時に少し隙間ができるので、
この隙間を埋めるためスプリングワッシャーを1枚かまして高さを調整しました。
完成です。
50Ω のダミーロードで動作を確認してみました。
スイープ範囲を 5MHz から 25MHz に設定して実行してみました。
当たり前ですが、SWR=1になってます。
前に作った AD9850 を使った Antenna Analyzer と画面表示の状況を比べてみました。
2台共にスイープ範囲は1MHz から 30MHz に設定しています。
TenaTesta 側のカラー表示は、黄色(SWR)、青色(FWD)、赤色(REV)です。
ということで、
画面の見やすさとしては、AD9850 を使った Antenna Analyzer の方が見やすいかな。
TenaTesta の方だけど、SWR の黄色だけを表示するとか、選択して表示することはできないのだろうか。
とはいっても TenaTesta は機能が豊富だからね。
スイープ幅も 100KHz から 150MHz と広いし、VHF 帯のアンテナ調査に使えるのはいいですね。
RF 信号発生モードです。
画面だけ。
ということで、
RF 信号発生やその他の機能の話しは、また今度だね。