アキバで売ってる Bluetooth 製品しかり、海外の Wifi 付マイコン基板しかり、
これら電波を発する機器を日本国内で使うとなると「技適」が問題になります。
安いものを買ってきて、後になって「技適」がないことに気づく。
そんなことも、たびたびです。
特に中華で売っているマイコン基板なんて最初から技適なんて付いてないのが当たり前で。
時に FCC さえ付いてないものまであったりと。。。
まぁ FCC が付いているものなら、どこか日本の企業さんが技適の審査通して販売してほしいけど・・・
でも、今度は価格が3割近くもアップしちゃったりするからねぇ。
(FCC マークが付いてるなら、いっそのこと簡単な申請だけで OK にしちゃえばいいのに。ったく。)
で、今日の本題なんだけど、総務省のウェブページによれば、
免許の要らない微弱無線局として「無線設備から3メートルの距離での電界強度」と規定されています。
(総務省のウェブから転載)
ようするに、Wifi 付きのマイコンなら、
3メートル離れたところで 35 μV 以下の電界なら免許不要ということなんです。
そんなこんなで、
- Wifi 付きのマイコンの電波ってどのくらい強いのか
- 免許不要レベルまで下げる(減衰させる)ことはできるのか
この2点について、ざっくりですが調査してみました。
今回の実験で使うマイコンは、WeMos D1 mini という超メジャーなもの。
そして電界強度の測定は、ノート PC に付属する Wifi アダプタを使うだけの、ホント簡単な方法になります。
(ホンモノの電測なんて持ってないもので。。。)
WeMos D1 mini をステーションモードで起動しました。
(ステーションモードなので LED は点灯したままとなります。)
ノート PC 側の構成は、Kali Linux + Kismet です。
root@kali:~# kismet_server -c wlan0 --use-gpsd-gps
root@kali:~# kismet
ノート PC から3m 離れたところに WeMos D1 mini を置いて電界強度を測定しました。
写真はデフォルト状態の強度で、-46dbm を示しています。(SSID = ESP8266_AP)
ところで、総務省の基準である 35μV ですが、
このままでは比較しにくいので、これを dBμV に変換しておきます。
dBμV は 1μV を基準にしたときの電圧なので、35μV は 約 31dBμV となります。
そして、デフォルト状態での -46dbm を dBμV に変換すると、約61dBμV(50Ω終端)となり、
これはもう完全にアウトです。
Google のスプレッドシートを使って計算してみました。
ホントはこんな面倒な計算は必要なくて、
50Ω 終端なら単純に dbm に 107 を足すだけで OK なんです。
dBμV = dBm + 107 = -46 + 107 ≒ 61 dBu (表計算の結果と同じです)
で、総務省基準の 31dBμV ですが、これを dBm に変換すると、
dBm = dBμV - 107 = 31 -107 ≒ -76 dBm
となり、このまま使い続けるには、
-76 dBm 以下になるようにシールドなどを施して送信時の強度を下げる必要があります。
・・・ということで、
まず近くにあった手袋の中にマイコンを入れてみました。
(電波遮断効果なんて期待できない、ただのユニクロの手袋ですが。。。)
すっぽり中まで入れてみましたが。。。
手袋なんかでも -64dBm まで下がるんだ。。。
続いて、空き缶を使ってシールドです。
こんな感じで上から蓋です。
-73dBm まで下がったので・・・もう一息です。
さらに、空き缶を使って蓋をしてみました。
こんな感じに、缶の上から大きな缶で蓋です。
なんとか -82dBm まで下がり、基準をクリアすることはできましたが。。。
それにしても、毎回こんなことしてマイコン使った実験するなんて、それもチョット面倒。。。
いっそ Wifi が使えないように改造しちゃうとか。
Wifi を完全に止められるコマンドでもあれば簡単なんだけど、そんな関数ってあるのかなぁ。
まぁそれは今度ゆっくりググってみますか。
それとスマホの電波を完全に遮断できるというポーチなんかも売ってるみたいなので、だれか持っている人を探して今度実験してみたいと思います。
ハムなので電波暗室(シールドルーム)が欲しいところだけど・・・そんなんは絶対無理ですからね。。。
海外のメジャーなマイコンが技適の関係で使えないなんて・・・ホント、日本の IoT は大丈夫なのかな?
(※)
今回の実験データについては、あくまでも参考として下さい。
根本的な考え方の誤り、計算間違いも考えられます。
それに何より、現在の日本の規則では、この技適マークが無いものは違法となります。
くれぐれもご留意ください。