JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

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【情報 TNX】IC-7760 の遠隔運用について

友人の JH7VHA 柴田さんとのメールのやり取りで、ICOM IC-7760 の遠隔運用に関する質問を iUSE でされたとのことで、その情報を共有していただきました。


https://www.icom.co.jp/lineup/products/IC-7760/


以下、JH7VHA 柴田さんから頂いた情報です。
なお、「弊社からのメール回答(および添付ファイル)の無断転載はご遠慮願います」とのことですので、質問とその回答についてはこちらで編集しております。

Q. 有線 LAN 接続の場合、コントローラーをもう1台追加することは可能ですか?
A. IC-7760 は送受信部のRFユニットと操作部の RC-7760 が1対1の関係にあり、1対Nでの動作はしないとのことです。

Q. コントローラーを追加で注文することはできますか?
A. コントローラー部の RC-7760 は、別売りされていないとのことです。

Q. 追加したコントローラーに別の IP アドレスを割り当てることは可能ですか?
A. コントローラーの追加が難しいため、別の IP アドレスを割り振るのも困難とのことです。
(IP アドレスに関しては、IC-7760 の RF ユニットと RC-7760 間のペアリング接続用と、RS-BA1 による遠隔操作用の IP アドレスのみ設定できるようです。)

Q. 難しい場合、LAN ケーブルを差し替えて1階と2階で切り替えて運用することは可能ですか?
A. 購入時に IC-7760 に同梱されているコントローラー RC-7760 とペアリング接続ができる状態であれば、ケーブルの差し替えによる運用も可能とのことです。

Q. IC-7760 の本体とパネルの接続は、LAN ケーブルの代わりに無線 LAN でも大丈夫ですか?
A. 有線 LAN を推奨するとのことで、無線 LAN を使用すると Wi-Fi の信号抑圧などにより、安定した通信が確保できないためだそうです。

Q. 「ネットワークアドレスが異なっても接続できます」とありますが、イーサネットのプロトコルは一般的な TCP や UDP を使用していますか?
A. UDPとのことです。

Q. アプリケーションでコントロールするのですか?
A. アプリケーションではなく、本体 RX ユニットとコントローラー間で有線によるペアリング接続となるそうです。


■ ■ ■

柴田さんがお住まいの7エリアは、もう雪景色だそうですね。シャックの無線機を暖かいリビングで快適に運用したいお気持ちはよく理解できます。もしかして、IC-7760 の購入をお考えでしょうか。ご購入の際には、さらなる詳細情報を共有していただけると嬉しいです。

以下、IC-7760 の Wi-Fi 運用についての私見です。

ICOM では、IC-7760 のコントローラーと RF デッキの接続に LAN ケーブル(CAT5e 以上)を推奨しています。これは、無線機の性能を最大限に発揮し、安定した運用を確保するための慎重な判断と理解できます。

しかし、技術的な観点から見ると、以下の条件を満たせば Wi-Fi 経由での運用も十分に可能だと考えます。

1. 遅延について

  • 現代の無線 LAN ルーターは、IEEE 802.11ac/ax などの規格に対応しており、有線 LAN に近い低遅延を実現できます。特に室内での使用であれば、電波干渉も最小限に抑えられます。

2. 帯域幅について

  • IC-7760 の制御信号や音声データの転送に必要な帯域は、最新の Wi-Fi 規格の能力と比較して十分に余裕があります。

3. 安定性について

  • 適切に設置された無線 LAN であれば、室内での通信は極めて安定するはずです。特に 5GHz 帯を使用すれば、一般的な電気機器からの干渉も少なくなります。

ただし、以下の点については十分な注意が必要です。

  • Wi-Fi ルーターは、RF デッキからの強力な RF 信号による干渉を受ける可能性があります。
  • 他の無線機器との干渉を避けるため、アンテナや RF デッキからある程度距離を置いた設置が望ましいです。
  • 重要なコンテストや緊急通信時には、やはり有線接続の方が安心です。

ICOM が有線 LAN を推奨する理由は十分に理解できます。しかし、現代の Wi-Fi 技術は成熟しており、適切な環境設定と配置を行えば、Wi-Fi 経由での運用も実用的な選択肢になると考えます。特に、シャックから離れた場所で自由に運用したい場合、Wi-Fi 接続のメリットは大きいでしょう。

以上、これはあくまでも個人的な見解であり、製品の保証やサポートに関する事項については、メーカーの指示に従うことを強くお勧めします。