友人の JH7VHA 柴田さんからの情報です。
JH7VHA 局から素晴らしい記事をいただきました。ハムの憧れである 1KW の無線局の検査に合格するまでの詳細な道のりが、豊富な写真とともに綴られています。これから 1KW の免許を目指す方々にとって、非常に参考になる貴重な資料です。記事は東北総通局エリアでの受検について書かれていますが、全国の皆様にも役立つ内容となっております。この貴重な情報を共有してくださった友人に、心から感謝の意を表します。
JH7VHA 柴田さんから頂いた情報
※ 以下、ご了承をいただき、そのまま掲載させていただきました。
1KW 検査合格までの工程をまとめました。長くて短かったという感想です。
HAM 再開から 1KW 免許取得まで
20220214 高校同期の かかりつけ医から 膵臓癌疑いを告げられる
20220314 診断確定 悪性リンパ腫ステージ4 ハンマー室伏 葛西アナと同じ病名
20220430 治療開始1ヶ月 だんだんといい感じ 調子がいい
20220531 抗がん剤効果あり 順調との診断 ノルディックウオーキングと腕立て伏せ再開 20220601 45 年前の今日 中学3年生の僕は TS-820 で 7MHz に HAM デビューしたんだよなー
HAM を再開しようかなー? 局免だけはキープしてたし
20220630 30 数年ぶりに ON AIR 14MHz SSB IC-7000 50W 屋根上モービルホイップ
20220710 無線設備がさびしいので 娘の歌を録るためのホームレコーディング設備と一緒にパシャ
ちなみに娘はもう「I want チュー!」は歌ってくれない
20220812 IC-7300 購入 同級生宅に預けていた開局時の TS-820V と一緒にパシャ
20220909 14MHz 8mH 逆Vを張る モービルホイップと比べ 段違い
20221002 14MHz 逆 V にトラップコイルを追加して 7MHz にカムバック
20221103 IC-7851 注文(地元ハムショップ)
20221205 申請していた 200W 免許下りる
20230101 今年は1KW免許取るぞー
20230214 年 生き延びた 去年の今日は覚悟したのに
20230222 タワー KT11 C+エレベーター アンテナ 330V2A ローテーター等注文 IC-PW1 中古依頼
(地元ハムショップ)
20230310 ショップからPW1回答あり 即 GO
20220314 東北電力に支障物件移設願い
ご近所さんが写っているので プライバシーに配慮しています
アマチュア無線のアンテナを建てるために支障となる
自宅の上空にある支線を移設してもらいたいと お願いしました
東北電力チャット相談で問い合わせました
電柱番号(**線**-**)を告げると、話が早い すぐに調査に来てくれました
その後 電力さんの事務方から電話確認が入る
約束の時期が近づいたら 事務方さんへ 確認の電話を入れる
20230331 病気休職のまま 定年退職となりました
退職の日 後輩たちからいただいた お祝いです
赤いちゃんちゃんこの代りに 紅白のTシャツに 寄せ書きをしてくれました 一生大事にします
20230401 KT11C エレベーター到着 ここからが大変でした
「もうタワーには上らないで」という妻からの お願いに答えて エレベーターを付けました
組み立ては自分で行いました
組み立て中 犬の散歩中のご近所さんから 「これは何?」と声をかけられ 「アマチュア無線のアンテナを上げるタワーです」「自転車置き場でも造るのかと 思っていたよ」
タワー単体が建つと「これ 倒れないのか?・・・」
世間の人からすれば タワーは威圧感半端ないのです
タワーを見て 喜んでいるのは 本人だけなのです スマイルで「大丈夫ですよ」と明るく答えましょう
20230425 電力支線移設完了 ありがとうございました いよいよタワー工事です
穴はバックホーで掘ってもらいました
CD 社製コンクリートレスの基礎にしました
過去に 実家の CD 社製 KT22R のコンクリート基礎を撤去できなかった経験からです
穴掘りの仕上げはこれで微調整しました
これ名前なんていうんでしょう?
昔から「バッコン」と呼んでますが?
上腕三頭筋に よく効きました
20230425 IC-PW1到着
ある方が譲ってくれたものだそうです
ICOM でオーバーホールして 電源、リレー
部品多数交換して、22万円ちょい 感謝²
ここはリニア部屋(ウオークインクローゼット)
アンテナケーブルはここで引き込んでいます
外壁側です
リニア部屋から コントロールケーブルを3本ジョイントして 隣の部屋(シャック)まで配線
配線は絨毯と絵画で隠しています
同軸切替器 8D-5D 中継部分の 同軸コネクターはN型を使用しています
M 型コネクターでの接触不良の経験からです
コントロール部をプリンター用粘着ゲルで 7851 に貼り付けています
同じように工人社のパワー計(KP-1)も センサー部はリニア部屋(PW-1背後)
特注 10m ケーブルでデスクまで配線 (下の写真参照)
目の前を 1KW が通過することは 避けたかったからです
20230505 IC-7851到着
なんじゃこりゃー とにかく すごい なにもかにも fantastic
IC-PW1 との連携で バンド アンテナ切替がスムーズで素晴らしいです
DUALWATCH 機能がとても便利です
音が聞きやすく 疲れません
20230620 アンテナ工事
基礎が落ち着いたところでアンテナ工事
クリエートデザイン製 330V2A(3.5, 7, 14, 21, 28, 50MHz 用)
強風時はエレベーターで下げるので 大丈夫だと思いますが 見た感じ 根元から折れそうなので
根元部分にVE管を約1m入れました
調整は簡単でしたが エレベーター を下げて調整してからエレベーターを上げると 3.5MHz だけ共振点が上がり 再調整が必要でした
アンテナアナライザーで測定して 全バンド内で VSWR < 1.5 でした
すごいアンテナです
ある日 JA3 の OM と QSO 中
「WARC BAND も 1KW もろといたほうがええですわ」
とアドバイスを受け
「やっちゃえ オッサン」という勢いで
20230714 アンテナ追加工事
ミニマルチ製
10, 18, 24 MHz ロータリーダイポール
注文時 ファイナルだとは知りませんでした
昔から気になるメーカーでした 廃業とは 残念です
VSWR < 1.5 です
ダイヤモンドアンテナ製
1.8, 7 MHz の逆 V
VSWR < 1.5 です
地上高が低いため 7MHz はひげを追加
1.8 MHz は 50 cm 以上カット
♪ 空にそびえる くろがねの城
♬ スーパー ロボット マジンガー Z
20230812 1.8 MHz から 50 MHz まで全て交信可能であることを確認できました
20230903 1KW変更電子申請
添付書類は ほぼすべて Excelで作成しました 一部の写真を添付します
(平面図)
(立体図)
(送信機系統図)
(ケーブル系統図)
(地図)
病院 警察 消防 学校施設 市役所 公民館 等
TV ラジオ 携帯等の無線局との距離と方位を記入した一覧表を作成し
地図上にプロットしたものです
近隣 1Km 2Km 4Km以内 4枚作成しました
携帯局がよく分かりませんでした
20231002 東北総合通信局から 防護指針計算書の訂正指示あり
(防護指針計算書)
総通局からの指摘で 24MHz 以上の 1KW は 許可になりませんでした
24, 28, 50MHz は 500W です
20231113 無線局指定変更・変更許可通知書発行(予備免許)
20231124 試験電波発射届提出
インターフェア調査
これからも長く付き合っていくご近所さんに対して 失礼のないよう注意しました
普段からの挨拶 笑顔を忘れずにしておくことが 大事です
(依頼分)
(解答用紙)
電波発射スケジュール
あらかじめ 電波の発射スケジュールを 決めておきます
何月何日何時何分に どのような 障害がでたかを知ることにより
周波数 電波形式 が分かりやすく 対策も楽になると思います
回転できるアンテナは回転させます
調査結果
調査結果 電波障害は 自宅を含め 2件発生しました
2件とも PC の YouTube に 3.5, 7MHz SSB のモガモガ音が入りました
パッチンコアを取付けて 解消しました
調査に回答してくれることは ありがたいことなのです
逆の立場で 自分がアマチュア無線を やっていなかったとしたら こんな 面倒くさい調査に 答えるでしょうか?
やらない人にとっては 迷惑なのです
回答してくださった方々に対し 感謝申し上げます
今後とも 電波障害発生時は 近所付き合いにヒビが入らないよう 丁寧に対応したいと思います
20231218 工事完了届提出
検査には国の検査を受検する方法と登録点検事業者を利用する方法が有ります
県内にはアマチュア局 1KW 変更検査に対応できる業者がなく 1KW 対応測定器をリースすれば可能なようですが 金額も KW になりそうなので 国の検査をお願いしました
安全対策
① タワーは 塀に囲まれた私有地内に建柱して 子供等が容易に上れないようにしました
② タワー倒壊 アンテナの破損による人 建物 車両等に対する被害を防ぐために 強風 雷等が予想 される場合は アンテナを地上付近まで下げ ロープで固定します
JARLの損害保険に加入しました
③ 感電防止対策として アース棒を複数本地下に埋めて アース線は5.5mm²で数mおきにパッチンコア を取付けて リニアアンプ 第1送信機等に接続しました
④ コモンモードノイズ対策として 同軸ケーブル 電源線 マイクケーブル 電鍵ケーブル スピーカ ーケーブル等々に CMF パッチンコアを取付けました
今後とも安全対策は継続して実施していきます
20240111 総通局より落成検査日程通知(20240301)
20240124 総通局から電話があり 検査内容の打ち合わせ
電力 周波数偏差測定 自宅のTVI 実通・・・とてもフレンドリーでした
インターフ ェア対策を褒められました
20240205 10, 18. 24MHz のアンテナの VSWR > 3 発生
給電部ボルトナット締め付け直しで復旧 原因不明 1番いやなパターン
20240214 2 年生き延びました 3 年 5 年となればいいなー
20240219 総通局から電話があり 検査日時・内容の最終確認をしました
20240301 そんなわけで 1KW 変更検査合格となりました
(所感)
私がアマチュア無線を初めたのは 45 年前の中学生のころ。
500W で ON AIR にあこがれて高校生の時に1アマを取りました。
高校、大学、受験のプロでした。
当時は、同級生が 50W の免許をもらうためにも、電監検査を受けた時代でした。
検査官から、「無線もいいけど勉強もがんばりなさいね 合格です」と言われた時の感激は忘れられません。私も 500W 免許申請のための、送信系統図を万年筆で作成したりしていました。
大学受験に無事合格してからは、東京生活となり、バイクや車、彼女に夢中になりつつも、マニアックショップに通いリニアアンプ用のバリコンやプレートキャップを集めていました。
就職が決まって、仙台、青森、秋田等転勤になっても、まだ HAM への情熱はありました。アパートから、7MHz に ON AIR しておりました。
HAM をお休みしたのは、最初の妻との死別後です。
長い年月は、修得したはずの電信を忘れさせ、丸暗記した無線工学を少しだけ思い出させました。
そして HAM を再開したのは、
今の妻の「無線、またやればいいんじゃない?でもタワーにはもう・・・」という言葉からでした。
再開後は どんどんはまっていきました。
昔のあこがれの無線機をヤフオクで落札したり。
TS-820ライン、311、700 シリーズ、RJX-601 等のレストアを始めたりして、たどりついたのは、昔あきらめた 1KW 設備が、38年間働いてきた今は買えるということです。
無線機やタワー、アンテナ等を購入した地元のハムショップに、変更検査申請事務をお願いしました。お願いといっても、内容は申請者である私が全て把握していることが当然です。平面、立面図、系統図等を作成して、ショップからのアドバイスで訂正しての繰り返しでした。
検査合格まで面倒を見ていただき 本当にありがとうございました。
(最後に)
浦島太郎の私が述べることは、まことに、せんえつ、ではございますが、私は、アマチュア無線で「のんびり」と交信を楽しみたいと思っています。
コンタクトした相手局の地図を Google マップで見る。
その土地の知識があれば、それを伝える。
こちらの土地の自慢を紹介する。
QRZ.COM を見て、無線機やアンテナ等について質問する。
30 分から1時間はゆうにかかります。
QSL カードのリクエストがあれば、交換します。
電話以外も、電信、FT8等、考えられる全ての電波形式を申請しました。
アマチュア無線の楽しみ方は、人によって様々です。
それぞれの楽しみ方を尊重して、今後とも、末永く続けていきたいと想います。
♪世界中 だれだって ほほえめば なかよしさ みんな 輪になり 手をつなごう 小さな世界
♩世界はせまい 世界は同じ 世界はまるい だだひとつ
It's a Small World より
以上 ご覧いただき ありがとうございました。
20240303 JH7VHA 柴田 悟
完
■ ■ ■
35 年以上にわたるお付き合いを思い返すと、私たちが高校生の頃に無線に打ち込んだあの情熱が、今も変わらず続いていることに、改めて感慨深いものがあります。
柴田さんがアマチュア無線を通じて得た成果と経験、そしてその情熱は、まさに「昭和の無線バカ」の精神を今に伝えるものであり、私自身も深く共感し、尊敬の念を抱いています。病との戦いの中でも、無線という共通の趣味を通じて支え合える友情は、本当に貴重な宝物です。病気をキロワットの威力で吹き飛ばしていただきたいと、心から願っています。
レポートを読ませていただき、柴田さんが直面した数々の挑戦と、それを乗り越えた過程に深い感銘を受けました。長い間、アマチュア無線を続けてこられた柴田さんの経験は、多くのハムにとって大きな励みになることでしょう。また、素晴らしいシャックの写真も拝見し、こちらまでワクワクする気持ちになりました。リニアアンプとともに健康にも気を配りながら、これからも末永くアマチュア無線を楽しんでいただきたいと思います。
私も柴田さん同じで、全国のアマチュア無線愛好家とゆったり交信できたらいいなと思っています。そのためには、相手にノイズで消されない信号を届けたいですね。短波帯の不安定なフェージングをものともせず、力強いキロワット級の送信が理想です。この強力な送信は、実は自分のためではなく、遠く電離層の向こうにいる相手のためなんだと考えています。
JH7VHA 柴田さんとの 35 年に及ぶ友情、そしてアマチュア無線という共通の趣味を通じて築いてきた絆は、私にとって計り知れない価値があります。この場を借りて、心からの感謝とお祝いの気持ちを表します。柴田さんのこれからの活動に幸多からんことを心より願いつつ、私たちの「無線バカ」魂がこれからも続いていくことを楽しみにしています。
再び、1KW 免許取得おめでとうございます。
そして、貴重な体験を共有してくださり、ありがとうございました。
JH1LHV(JR7FHN)