JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

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これから CW マニア道を歩もうとしている人達のために

CW マニア道――それは険しくも、奥深く、そして楽しい道。

この記事では、これから CW(モールス電信)を始めたいと思っている初学者の方に向けて、私がおすすめする練習方法を紹介します。

世の中にはさまざまな練習法が紹介されていますが、私がおすすめするのは、じつにシンプルなこと。

「とにかく聞くこと!」

これに尽きます。

モールスは、聞けば聞くほど上達します。私自身、それを信じて今日まで聞き続けてきました。

過去に CW にチャレンジして挫折し、交信を諦めてしまった・・・そんな方もいらっしゃるかもしれません。でも、それはモールスに触れている時間が足りなかっただけのこと。素質がなかったとか、向いていないとか、そんなことは決してありません。

気楽な気持ちで、もう少しだけ時間を作って練習してみてください。

「毎日、少しの練習!」

これを続けることだけが上達への近道です。1日15分でも構いません。大切なのは「毎日」の部分です。

 

絶対に守ってほしいこと:語調法(合調音法)は使わない

まず最初に、これだけは強調しておきます。

語調法(合調音法)は絶対にダメです。

「アロー(A)」「ビークラス(B)」のような語呂合わせでモールスを覚える方法は、入口としては手軽に見えますが、実践の場ではまるで役に立ちません。語呂合わせが頭の中に介在することで、音から文字への変換に余計なステップが生じ、速度が上がるとたちまち破綻します。

モールス符号は、実際に流れる音を聞いて覚えてください。

これは「音感法」と呼ばれる方法で、プロもハムも、CW を本気でやる人はみんなこの方法で習得しています。「ピ ピー」と聞こえたら「A」と瞬間的にイメージできる・・・そういう回路を脳に作ることが目標です。

ここでは、CW MANIA の姉妹ソフトである Learning Morse を使って練習していきます。

 

ハムなら「暗記受信」を目指そう

プロとハムでは練習の方向性が違う

ここは大事なポイントです。

プロの通信士の世界では、モールスを聞いて電報用紙に正確に書き取ることが仕事です。1文字の誤りが3点の減点になるような厳格な試験をパスし、条件反射で手が動いて文字を書けるようになるまで徹底的に訓練します。

昔、船乗りをしていた友人から聞いた話ですが、電報の数字を1文字間違えただけで、港に着いたら予定の5倍のオレンジが積んであった・・・帰港後にクビになったそうです。プロの世界では、それくらい誤字が重大なのです。

一方、私たちはハムです。趣味として交信を楽しむことが目的ですから、電報用紙に正確に書き取る必要はありません。数文字聞き落としたって意味は分かるし、会話は成り立ちます。

だからこそ、ハムは最初から暗記受信を目指して練習した方が、実践で役立つし圧倒的に効率的です。

暗記受信のやり方

「暗記受信」と聞くと何か特別なテクニックがありそうですが、じつは秘策なんてありません。

ただただ、モールスを紙に書かずに聞くだけ。

「ピ ピー」と聞こえたら、頭の中で「A」とイメージする。それだけです。
紙に書くのは、覚えたての最初のうちだけ。なるべく早い段階で紙を手放しましょう。
(※実際の和文交信では、相手の名前や QTH など、メモ程度の記録はします。)

余談:プロの有資格者が暗記受信できないことも

これはちょっと意外に思われるかもしれませんが、プロの有資格者で暗記受信ができない人は少なくありません。朝から晩まで紙に書き取ることだけを訓練してきたので、仕方ない部分もあります。

逆に、バリバリ暗記で交信しているハムも大勢います。

モールスを聞いて文字を紙に書く動作と、暗記受信の動作は、脳の使い方がまったく異なります。

プロの練習法がハムの交信にそのまま有効とは限らない。リアルな交信を楽しむハムと、電文を正確に受信するプロでは、最適な練習法が違う・・・このことは覚えておいてください。
 

具体的な練習ステップ:5文字ずつ覚える

ここからは、具体的な練習の進め方です。必ず音を聴いて覚えること。これが大前提です。

ステップ1:少数の文字を順番に聴く

例えば欧文なら、まず A から E の5文字から始めます。

速度は 10WPM(文字速度) に設定し、文字間のスペースを広めに取って練習します。

 ・速度は 10WPM 、スペースは+3の設定にする

  f:id:JH1LHV:20130623153315j:plain

  

 

最初から符号そのものを実戦的な速度で聞くことで、音の塊(リズム)としてモールスを認識できるようになります。あまりにも遅い速度(5WPMなど)で練習すると、短点・長点をひとつずつ数えるクセがつき、速度を上げたときに壁にぶつかります。

ステップ2:同じ文字をランダム順で聴く

順番に聴いて音を覚えたら、次はランダムで聴きます。同じ A~E でも、順番が変わるだけで難易度が一気に上がります。

 ・速度は 10WPM 、スペースは+3の設定にする

  f:id:JH1LHV:20130623153449j:plain

  

 

ステップ3:文字間スペースを徐々に縮める

ランダムで確実に取れるようになったら、文字間のスペースを少しずつ標準に近づけていきます。

 ・速度は10WPM 、スペースは+2の設定にする

  

 

 ・速度は10WPM 、スペースは+1の設定にする

  

 

 ・速度は10WPM 、スペースは標準の設定にする

  

 

練習の流れ:

  1. スペース広め → ランダムで聴く → 確実に取れる
  2. スペースを一段階縮める → 確実に取れる
  3. さらに縮める → 確実に取れる
  4. 標準スペースで聴けるようになる

ステップ4:次の5文字を追加

A~E が標準スペースで取れるようになったら、F~J の5文字を追加。同じ手順を繰り返します。
これを繰り返していけば、全26文字+数字+記号をカバーできます。

 

練習のポイント

要点を整理すると、次のようになります。

  • あまりにも遅い速度は、かえって覚えにくい
  • 文字間隔は最初は十分に広く取る
  • 間隔を広くして確実に受信できるようになったら、少しずつ標準に近づける
  • 文字の音を「形」として覚える
  • 紙に書くより、頭の中で受ける練習を中心にする

つまり、
符号自体はある程度しっかりした速度で流し、間隔だけを広くして練習する
ということです。

これは初心者にとって非常に効果的ですし、実際の交信へ移るときにも無理がありません。

 

結局、上達の近道は「毎日少しずつ聞くこと」

CW の上達に、特別な裏技はないと思っています。
あるとすれば、それは

毎日少しずつでも、聞き続けること

これだけです。

一度に長時間やる必要はありません。
短い時間でもよいので、毎日モールスに触れること。
その積み重ねが、ある日ふっと「聞こえる」に変わります。

CW は、覚え始めの頃こそ少し苦しく感じるかもしれません。
でも、そこを越えると一気に世界が広がります。
そして一度その楽しさを知ってしまうと、まさに「CWマニア道」の入口に立ったことになります。

これからその道を歩こうとしている皆さんに、少しでも参考になれば幸いです。

 

次のステップ

モールスの基本符号を覚えたら、次はコールサインの聞き取り練習が効果的です。当ブログでもコールサイン受信練習がブラウザ上で利用できますので、ぜひ活用してください。

  

--------------- 追記 ----------------

モールス音源のリンクです。 

www.jh1lhv.tokyo