和文電信で読む小説として児童向けの小説は読みやすいので、
今回も前回に引き続き、青空文庫の児童書の中から、
原民喜 うぐいす
を選択してみました。
[ 25wpm 700Hz ]
うぐいす
原民喜
うめのはながさきはじめました。がっこうのもんのところにあるうめも、こうえんのいけのほとりにあるうめも、しずかにはなをひらきました。ゆうじのいえのにわのはくばいもさきました。はなにひがあたると、しろいはなはパッとうれしそうにかがやきます。ひかげのえだにあるはなはしずかにあおぞらをながめています。うめのはなはみんなじっとなにかをまっているようでした。
ゆうじのいえのにわさきに、あるあさ、うぐいすがやってきました。ホーホ
ケキョホーホケキョうぐいすはうめのえだにとまってふたこえみこえさえずりました。が、すぐにへいをとびこえて、どこかへとんでいってしまいました。
そのよくあさもまたうぐいすがやってきました。こんどは、ゆうじのいえのにわがきにいったのか、すこしゆっくりしているようでした。うぐいすはうめのきのえだからえだへじょうずにとびうつってあそんでいました。が、しばらくすると、またへいをとびこしていってしまいました。
うぐいすはまいあさやってきて、だんだんゆうじのいえのにわをすきになるようでした。えんがわのほうからゆうじたちがみていても、あわててにげだすようなことはありません。
にちようびのあさでした。
よし、あのうぐいすをひとつしゃしんにうつしてやろうと、ゆうじのちちはさっそくカメラをもってえんがわにあらわれました。
とれた、とれた、うまくとれたぞ
ちちはうれしそうでした。ゆうじもどんなしゃしんができるのかはやくみたくてたまりませんでした。いつかほどして、うぐいすのしゃしんはできあがりました。それはにわのくろべいとうめのえだがくろくうつっていて、しろいはなとうぐいすのすがたがくっきりとでている、すばらしいしゃしんでした。ゆうじはちちからそのしゃしんをいちまいもらいました。
けれども、そのしゃしんができたころから、うぐいすはゆうじのいえのにわにすがたをみせなくなりました。どうしたのかしら、どうしたのかしら、と、ゆうじはしきりにさびしくなりました。
ゆうじはうぐいすのしゃしんをポケットにいれてがっこうへいきました。
ぼくのうちにきていたうぐいすだよ
そうかいと、やまだくんはめをみはりました。
ゆうじはやまだくんをつれて、いえにもどってきました。が、にわにきてみても、やはりうぐいすはいませんでした。ゆうじとやまだくんはそのしゃしんとにわのうめのきをみくらべてしらべてみました。ちょうど、あのうぐいすがとまっていたえだがみつかりました。
あそこのところにとまっていたのだね
うん、あそこのところだ
あそこのところになにかしるしつけておこう
やまだくんはポケットからしろいひもをとりだしました。そして、それをうぐいすのとまっていたえだのところにむすびつけました。
モールス符号に合わせて文字を目で追えるように小説本文も掲載しておきました。
この 25wpm が少し速いと感じる方は、先に本文をザッと読んでからモールスを聞いてみるのも良いかもしれません。
和文上達の秘訣?
ん~、何でしょう。
強いて言えば、こんな「つまらない」ことを、しつこく続けられるかどうか。
この一言に尽きるのではないでしょうか。
まあ、
単身赴任先の新潟では電波が発射できないので、こうして一人寂しく和文だけは聞き続けている、
そんな、今日このごろです。