JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

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ハムのコンテスト参加者と賞金の話

少し前の記事で、海外の状況(CQ World Wide DX Contest 2025 CW)にふれながら「国内コンテストはこの先どうなっていくのだろう」という話を書きました。あのときは手元にデータがなく、あくまで肌感覚での話しだったのですが、せっかくなので今回は実際の数字を少し追いかけてみることにしました。あわせて、e スポーツをはじめとする「賞金の世界」がいまどのくらいの規模になっているのかも調べてみたので、そのあたりも交えて考えてみたいと思います。

まずは足元から、アマチュア局数はどこまで減ったのか

まず最初に、アマチュア局そのものの数字を確認しておきます。

アマチュア局は、1995 年 4 月末に過去最高の 136 万 4,316 局 を記録したのがピークでした。その後は増減を繰り返しながら、ピーク後の最高だった 2016 年 3 月末の 43 万 6,389 局を境に、いまも "ピーク後最低局数" を更新し続けています。総務省が公表した 2025 年 12 月末のデータでは 33 万 3,309 局。2025 年は 1 年を通して約 1 万 3,000 局の減少で、1 日あたりに直すとおよそ 36 局ずつ消えていった計算になります。

高齢化による閉局と、新規開局の細さ。この二つが噛み合っている以上、右肩下がりの流れは当面変わらないというのが正直なところでしょう。前回私が心配していた「ハム人口の減少」は、残念ながら数字の上でもはっきり裏づけられているわけです。

意外と粘っている、ALL JA と全市全郡の参加局数

では、その減り続けるアマチュア局数を背景に、肝心のコンテスト参加局数はどうなっているのか。ここが今回いちばん意外だった部分です。

国内最大級の2大コンテスト、ALL JA と全市全郡について、書類提出局数(=実際に参加した局数)を並べてみました。

ALL JA 全市全郡
2019 1,676 1,229
2020 1,920 1,818
2021 1,875 1,919
2022 1,871 1,885
2023 1,871 1,788
2024 1,808 1,688
2025 1,868 1,786

※いくつかの参照先で集計値に若干の違いがありました。

全体のアマチュア局数が毎年 3〜4% ずつ痩せ細っているのに対して、コンテストの参加局数は 1,800 前後でずっと踏みとどまっています。しかも、じわじわ減っていた ALL JA は 2025 年(第 67 回)に 1,868 局と前年より 60 局増えて増加に転じ、全市全郡(第 46 回)も前年比 98 局増の 1,786 局と、2 年前の水準に回復しました。

コロナ禍の "おうち時間" が押し上げた 2020〜2021 年のピークほどではないにせよ、「参加者がなだれを打って減っていく」という私が思っていた最悪のシナリオは、少なくともまだ現実にはなっていません。むしろ、局数全体が減るなかで参加局数が横ばいということは、コンテストに出るような熱心な層の "密度" はむしろ上がっているとも読めます。コンテストという運用そのものは、思っていたよりしぶといのかもしれません。

国内コンテストの行方

とはいえ、楽観だけもしていられません。ハム人口の減少が続けば、参加者の減少 → 運営の負担増 → 廃止、という流れが、いずれ現実になるコンテストも出てくるのではないでしょうか。上の2大コンテストのように全国規模で参加者を集められるものはまだよいとして、地方のローカルコンテストなどは、全体のアマチュア局の縮小の影響を特に受けやすいはずです。実際、この数年で静かに姿を消していったコンテストも決して少なくありません。

大きな流れが横ばいでも、その内側では確実に淘汰が進んでいる・・・そう捉えておくのが妥当なところだと思います。

スポンサーがつけば変わるのか?

ところで、他の一般的な競技の世界に目を向けると、有力なスポンサーがつき、大きな賞金が用意され、大いに盛り上がっているコンテストが数多くあります。e スポーツしかり、モータースポーツしかり。

もしハムのコンテストにも同様のスポンサーシップが実現し、たとえば優勝者に高価な HF トランシーバーが贈られるといったことになれば、参加のモチベーションは確実に上がるでしょう。FOX ハンティングや ARDF の競技でも、上位入賞者に賞金や豪華賞品が出るようになれば、新たな参加者の呼び水になるかもしれません。

さらに踏み込んで、国内のメーカーさんがスポンサーとして名乗りを上げ、型落ち品ではない現行の市販製品・・・それも、ふだんはなかなか手が出ないクラスの高価な無線機が副賞として贈られる、なんてことになれば、個人局はもちろん、クラブ局も総力を挙げて優勝を狙いにくること間違いなしです。案外、こういうところからこそアマチュア無線の裾野は広がり始めるのではないか、とも思うのです。

e スポーツの賞金は「桁」が違う

では、その "賞金の世界" がいまどのくらいの規模なのか。調べてみて、正直あぜんとしました。

e スポーツの単一イベントとして史上最高額を記録したのが、2025 年にサウジアラビアで開催された Esports World Cup 2025。賞金総額はおよそ 7,045 万ドル、日本円にして 100 億円を超える規模です。長らく最高峰とされてきた Dota 2 の世界大会「The International 2021」も賞金総額は約 4,000 万ドルで、優勝チームが手にした賞金は単独で約 1,820 万ドル・・・レートにもよりますが、およそ 20 億円です。1 チームが 1 大会で 20 億円。もはや現実感が追いつきません。

国内のタイトルでも桁は十分に大きく、Shadowverse の世界大会では優勝賞金 1 億 5,000 万円、Monster Strike の GRANDPRIX でも優勝 5,000 万円といった例があります。格闘ゲームでは、2025 年の Capcom Cup 11(ストリートファイター 6)で日本人選手が優勝賞金 100 万ドル(約 1.4 億円)を獲得し、話題になりました。

こうして眺めると、優勝者に無線機1台、というささやかな夢が、いかにも慎ましく思えてきます。もっとも、私たちが求めているのはこの手の巨額の賞金ではなく、あくまで「参加してみようかな」と思わせるひと押しのはずです。額の大小の話ではないのですよね。

「金銭上の利益のためではなく…」という一線

もっとも、アマチュア無線の世界には「金銭上の利益のためではなく、個人的な興味によって行う…」という大原則があります。賞品や賞金の話になると、どうしてもこの一線が意識されます。

ただ、「参加を促すインセンティブ」と「営利目的の運用」は、本来まったく別の話のはずです。マラソン大会の完走賞や、地域イベントの参加賞に目くじらを立てる人はいません。コンテストの活性化と制度の精神をどう両立させるか・・・これは今後、真剣に議論されてもよいテーマではないかと思います。幸い、参加局数がまだ踏みとどまっているいまは、腰を据えて考えるにはむしろ良いタイミングなのかもしれません。

コンテストの灯を絶やさないために

コンテストは、アマチュア無線の楽しさを凝縮した場です。今回数字を追ってみて、その灯は思っていたよりもしぶとく燃えていると分かったのは、素直にうれしい発見でした。ただ、アマチュア局が細り続けている以上、この灯りが「勝手に」ともり続けてくれる保証はどこにもありません。

その灯を絶やさないために、私たちにできることを考え続けていく必要があるのではないでしょうか。