JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

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アマチュア無線局数と JARL 会員数の推移を比べてみる

総務省が公開している「アマチュア無線局数の推移」と、JARL の「業務・財務等に関する資料」から、平成23年度(2011)から令和6年度(2024)までの14年間のデータを並べてみました。アマチュア無線局数と JARL 会員数、この二つの数字を重ね合わせてみると、いろいろと考えさせられるものがあります。

データの概要

年度 アマチュア無線局数 JARL会員数 JARL加入率
H23 (2011) 435,644 69,651 16.0%
H24 (2012) 436,187 68,737 15.8%
H25 (2013) 435,581 67,265 15.4%
H26 (2014) 436,389 66,418 15.2%
H27 (2015) 433,996 66,318 15.3%
H28 (2016) 427,070 65,999 15.5%
H29 (2017) 412,667 65,955 16.0%
H30 (2018) 398,684 65,368 16.4%
R1 (2019) 386,588 65,214 16.9%
R2 (2020) 378,680 65,788 17.4%
R3 (2021) 370,653 66,076 17.8%
R4 (2022) 358,068 65,918 18.4%
R5 (2023) 344,105 64,735 18.8%
R6 (2024) 329,653 63,034 19.1%

 

局数は14年間で約10万6千局の減少

まず目に飛び込んでくるのは、アマチュア無線局数の右肩下がりです。平成23年度の約43.6万局から令和6年度の約33.0万局へ、14年間で約10万6千局、率にして24.3%の減少。ざっくり言えば、4局に1局が消えた計算になります。

ただ、減り方には明確なフェーズがあります。平成23年度から26年度(2011〜2014)にかけては、43.5〜43.6万局の範囲でほぼ横ばいでした。この頃はまだ「踏みとどまっている」感がありました。風向きが変わったのは平成28年度(2016)頃からで、年間1〜2%台の減少が始まり、平成29年度以降は毎年3%以上のペースに加速。そして直近の令和5→6年度は年間4.2%減と、14年間で最大の下落率を記録しています。

JARL 会員数は「意外なほど粘っている」

一方で JARL 会員数はどうかというと、これが意外と健闘しています。平成23年度の69,651人から令和6年度の63,034人へ、減少は6,617人、率にしてわずか9.5%。局数が24.3%も減っているのに比べると、JARL の会員基盤は相対的にかなり底堅い印象です。

特に注目したいのは令和2〜3年度(2020〜2021)です。コロナ禍でステイホーム需要が高まった影響なのか、JARL 会員数はこの2年間で実は「純増」しています。令和元年度の65,214人から令和3年度の66,076人へ、約860人の増加。アマチュア無線局数は同じ期間も一貫して減っているのに、JARL だけは逆行して増えたわけです。これは素直に面白いデータだと思います。

ただし、この反転も長くは続かず、令和4年度から再び減少に転じ、令和5→6年度は一気に1,700人減(▲2.6%)と、14年間で最大の落ち込みとなりました。

JARL 加入率は上昇し続けている

局数と JARL 会員数の減少ペースの違いは、「JARL 加入率」にはっきり表れています。平成23年度の16.0%から令和6年度の19.1%へ、加入率は一貫して上昇。「アマチュア無線をやっている人のうち、JARL に入っている人の割合」は着実に増えているのです。

これをどう読むか。楽観的に見れば、JARL の存在意義がアクティブな無線家にはしっかり認知されている、とも言えます。QSL カードの転送サービスをはじめ、JARL に加入するメリットを感じている層は確実にいるということでしょう。

一方で、やや厳しい見方をすれば、「局免は持っているけど実際には運用していない(= JARL に入る動機もない)サイレントキー予備軍」が大量に抜け落ちていった結果、アクティブ局の比率だけが相対的に上がっている、という構造的な話でもあります。減っているのは「周辺層」であって、コア層はまだ残っている。ただし、令和6年度の急落を見ると、そのコア層にもいよいよ高齢化の波が及び始めているのかもしれません。

この先を考える

14年分のデータを眺めて感じるのは、アマチュア無線が「緩やかな衰退」のフェーズから「加速する縮小」のフェーズに移りつつあるということです。年間4%超の減少が続けば、あと10年で局数は20万局を割り込む計算になります。

今後のポイントは、新しく開局する人をどう増やすか、そして免許を持っていてもあまり運用していない人たちに、もう一度無線機の電源を入れてもらうきっかけをどう作るか、というところでしょう。コロナ禍で JARL 会員が純増したデータが示しているように、何かきっかけさえあれば人は戻ってくる可能性があります。SDR や格安トランシーバーの普及、FT8 をはじめとするデジタルモードの広がりは、かつての「高価な無線機と大きなアンテナがないと始められない」というハードルを確実に下げています。入口は昔より広くなっているはずです。

アマチュア無線は、単なる通信手段として見れば、すでにスマートフォンやインターネットにはかないません。しかし、自分の設備で電波を出し、コンディションを読み、アンテナを工夫し、偶然つながった相手と交信する ── あの楽しさは、ほかの趣味ではなかなか味わえないものです。

この数字を見て寂しいと感じるだけでなく、今いる無線家がブログや SNS、移動運用、イベント、電子工作、CW、デジタルモードなどを通じて、アマチュア無線の楽しさを少しずつ発信していくことが大切なのだと思います。わたし自身もそのうちの一人として、このブログで無線の面白さを伝え続けていきたいと思っています。

数字は厳しいですが、まだ終わった趣味ではありません。むしろ、今こそ「何が楽しいのか」を自分たちの言葉で伝えていく時期なのかもしれません。

 


データ出典

 

www.jh1lhv.tokyo