JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

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古い CQ 誌の裁断の旅 ~2~

いよいよ今回は、実際の裁断作業とスキャン作業の様子をお伝えします。

帰省中は墓参りや倉庫の片付けなども重なり、CQ 誌の電子化に充てられる時間は限られていましたが、それでも1日半ほどをまるごとこの作業に費やしました。さて、その顛末はといいますと――思いのほか、いろいろとありました。

まず最初の躓き ── 1969年の CQ 誌

作業は倉庫に積み上げられた段ボール箱の中から、いちばん上の箱を取り出すところから始まりました。箱を開けて中身を確認すると、1969年(私はまだ小さな子供です)の CQ 誌が収められていました。ラジオ少年だった頃の憧れの誌面です。「よし、まずここから」と意気込んだのですが、いきなり問題が発覚しました。

この年代の CQ 誌には、金属の留め具(いわゆるステープル針のような金属ピン)が使われており、しかも50年以上の歳月を経て紙にしっかりと食い込んでいます。この状態のまま裁断機にかけるのは、二つの意味で危険です。

ひとつは、金属ピンを避けて裁断しようとすると、どうしても左端の本文部分まで刃が入ってしまうこと。もうひとつは、万が一刃が金属ピンに当たってしまった場合のリスクです。裁断機の刃は非常に繊細で、金属に一度でも触れると刃こぼれを起こし、その後の切れ味に大きな悪影響を及ぼします。コクヨの PK-513 は頼もしい相棒ですが、さすがにそこまでは無理をさせられません。

ならばまず金属ピンを外してから、と思ったのですが、これがまた難儀でした。手元にあった工具はラジオペンチ一丁のみ。先端がさほど細くないため、紙に深く食い込んだ金属ピンを慎重に外すには心もとなく、力をかければ古い紙を傷つけてしまいかねません。

この1960年代の CQ 誌を PDF 化することこそ、今回の帰省のいちばんの目的でした。しかしここで無理をして本を傷めては元も子もありません。やむなく1969年の箱はいったん倉庫へ戻し、今回は1971年以降(ここから金属ピンなし)と1984年以降の冊子、合わせて約50冊を対象に作業を進めることにしました。

次回の帰省では、千枚通しやステープルリムーバーなどの適切な工具をしっかり揃えて、改めて挑戦するつもりです。

1971年以降の CQ 誌 ── 2分割裁断

気を取り直して、1971年以降の冊子から作業を再開しました。この時代の CQ 誌はページ数が多く、広告も含めると500ページ近くあります。4cm 前後の厚みがあるため、そのままでは裁断機に一度にかけることができません。

そこで取ったのが「2分割」の方法です。ちょうど真ん中あたりのページを軽く両側へ開くだけで、意外なほど簡単にきれいに分割できました。背表紙の糊がほどよく劣化しているためか、無理な力をかけずともスパッと割れる感覚があり、これは予想以上にスムーズでした。あとは分割した前半・後半をそれぞれ裁断機にかけるだけです。切断面は相変わらず見事な仕上がりで、PK-513 の実力を改めて実感しました。

ScanSnap でのスキャン作業 ── 広告ページに手こずる

裁断が済んだらいよいよスキャンです。今回新調した ScanSnap iX2500 が、ここで本領を発揮してくれるはずでした。

私は広告ページも含めて一冊まるごとスキャンするポリシーを貫いています。「広告は読み飛ばすもの」という考え方もあるかもしれませんが、1970年代・80年代の広告には、その時代の無線機器や部品の価格、メーカーの勢力図、そして当時のアマチュア無線界の熱気がありありと刻まれています。記事本文と同様、これらにも歴史的な価値があると思っているからです。

ところがこの広告ページが、スキャン作業での最大の難関でした。広告に使われている紙は本文ページより薄く(ペラペラ)、しかも50年以上経過したことで、ところどころ波打ったり島状によれたりしています。この状態のページが重なって送られてしまう「重送」が、何度も発生しました。

その度に作業は中断を余儀なくされます。重なっていたページまで戻り、再度セットしてスキャンをやり直す。この手戻りが積み重なると、時間も体力も消耗します。

ただ、さすがは最新モデルというべきでしょうか。ScanSnap iX2500 は重送を自動検知して、その場でピタッと停止してくれます。以前使っていた旧機種では、このような機能がなかったため、排出される紙を常に目で監視して、少しでも重なりの気配があれば手動で止めて差し戻す必要がありました。一冊スキャンし終わるころには、疲労感のほうが達成感を上回っていたものです。

今回はそこまでひどくはなかったものの、それでも随所で手戻りが発生し、「1冊のスキャンにこれほど時間がかかるものか」と、改めて実感しました。

今回の成果と次回への課題

結局のところ、1日半をまるごと裁断とスキャンに充てて、完了できたのは約50冊ほどでした。スキャン自体のスピードは申し分ないのですが、随所で発生する小さなトラブルへの対応が時間を食う、というのが今回学んだ最大の教訓です。

次回の帰省では以下の点を改善して臨みたいと思っています。

  • 千枚通し・ステープルリムーバーを必ず持参し、古い冊子の金属ピンに備える
  • 広告ページの重送対策として、ページをあらかじめ空気に通しておく(パラパラとさばいてから投入するだけでも効果があるかもしれません)
  • 1回の帰省で片付ける冊数の目安を現実的に設定する

そんなに間を空けずにリベンジしたいと思っています。

おわりに ── 裁断してみてわかったこと

実家の倉庫に眠っていた CQ 誌に刃を下ろすことを、あれほど躊躇していたのに、いざ一度やってしまえば、もうすべての CQ 誌を電子化してしまいたくなりました。

今、この記事を喫茶店で書きながら、手元の iPad には今回裁断した約50冊の CQ 誌が収まっています。コーヒーをひと口飲んで、画面をスワイプするだけで、あの頃の誌面がどこまでも続いていく。CQ 誌1冊よりも軽いこの端末に、何十年分もの思い出が詰まっているのだと思うと、なんだか不思議な気持ちになります。

まだ全体のほんの一部にすぎませんが、それでも「電子化してよかった」と素直に思えています。残りの CQ 誌も、次の帰省までに工具を揃えて、必ず電子化してみせます。次の帰省が、今から楽しみです。

iPad でも閲覧できるようにしています。

こうした技術記事をいつでも読めるのは、本当にありがたいです。