ARRL の機関誌 QST(2026年5月号)に掲載されていた、W1AW(ARRL 本部局)の運用スケジュールを紹介します。
CW 運用をされている方であれば、一度は耳にしたことがあるであろう W1AW。定期的に送信されるコード練習や各種ブレティンは、まさに「世界標準の練習素材」と言ってもいい存在です。

W1AWとは?
W1AW は、アメリカのアマチュア無線連盟(ARRL)が運用している公式局で、モールス符号の練習送信、各種ニュース(Bulletin)の送信、デジタル・音声による情報発信などを、長年にわたり継続して行っています。
モールス練習(CW Practice)
W1AW の魅力のひとつが、充実したモールス練習です。
- 低速(Slow Code) → 5 / 7 / 10 / 13 / 15 WPM
- 高速(Fast Code) → 10 / 13 / 15 / 20 / 25 / 30 / 35 WPM
さらに、コードブレティンは 18 WPM で送信されます。初心者から上級者まで幅広く対応しているのが特徴です。
W1AW 運用スケジュール(日本時間版・2026)
ARRL 本部局 W1AW は、モールス符号の練習送信や各種ブレティンを、非常に規則正しいスケジュールで送信しています。QST(2026年5月号)に掲載されていたスケジュールをもとに、日本時間(JST)へ変換して整理してみました。
W1AW の運用は「東部時間固定」で行われるため、米国夏時間(3月第2日曜〜11月第1日曜)と冬時間で、日本時間では1時間のズレが生じます。
- 夏時間:JST = 東部時間 + 13時間(UTC = 東部時間 + 4時間)
- 冬時間:JST = 東部時間 + 14時間(UTC = 東部時間 + 5時間)
以下では、実際にワッチしやすい「夏時間ベース」で掲載しています。
日本時間スケジュール(夏時間ベース)
| 時間(JST) | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
|---|---|---|---|---|---|
| 05:00 | Fast | Slow | Fast | Slow | Fast |
| 06:00 | Code Bulletin(18WPM) | ||||
| 07:00 | Digital Bulletin | ||||
| 07:45 | Voice Bulletin | ||||
| 08:00 | Slow | Fast | Slow | Fast | Slow |
| 09:00 | Code Bulletin(18WPM) | ||||
| 10:00 | Digital Bulletin | ||||
| 10:45 | Voice Bulletin | ||||
| 11:00 | Fast | Slow | Fast | Slow | Fast |
| 12:00 | Code Bulletin(18WPM) | ||||
| 22:00 | — | Fast | Slow | Fast | Slow |
※ 06:00〜07:45、09:00〜10:45 の Bulletin 系は月〜金共通です。22:00 の練習送信は火〜金のみ。
周波数一覧(バンド別)
| バンド | CW | Digital | Voice |
|---|---|---|---|
| 160m | 1.8025 MHz | — | 1.855 MHz |
| 80m | 3.5815 MHz | 3.5975 MHz | 3.99 MHz |
| 40m | 7.0475 MHz | 7.095 MHz | 7.29 MHz(AM) |
| 20m | 14.0475 MHz | 14.095 MHz | 14.29 MHz |
| 17m | 18.0775 MHz | 18.1025 MHz | 18.16 MHz |
| 15m | 21.0675 MHz | 21.095 MHz | 21.39 MHz |
| 10m | 28.0675 MHz | 28.095 MHz | 28.59 MHz |
| 6m | 50.350 MHz | 50.350 MHz | 50.350 MHz |
| 2m | 147.555 MHz | 147.555 MHz | 147.555 MHz |
※ 7.290 MHz の音声送信は AM(両側波帯・フルキャリア)です。
Qualifying Run(資格認定)
W1AW では、モールス符号のコード練習と同じ周波数で Qualifying Run(資格認定試験)も実施されています。最も速い速度で1分間を受信・書き取りし、無援助で写したことを証明のうえ ARRL に送付すれば、証明書($10)またはエンドースメント($7.50)を取得できます。West Coast 局による送信も行われています。
運用のポイント
- 06:00〜07:45 / 09:00〜10:45(JST)は、CW・デジタル・音声が連続する「ゴールデンタイム」
- 初心者は Slow Code(5〜15 WPM)、上級者は Fast Code(最大 35 WPM)で練習可能
- Code Bulletin は 18 WPM 固定で、実践的な聞き取り練習に最適
- 7.290 MHz の音声は AM 送信という点も特徴的
- 金曜日(UTC)は通常のブレティンに代わり DX Bulletin が送信される
非常通信時の役割
W1AW は単なる練習局ではなく、通信非常事態の際には以下のスケジュールで特別ブレティンを送信する体制が整っています。
- 毎正時(00分):音声
- 毎時15分:RTTY
- 毎時30分:CW
非常通信の情報源としても重要な役割を担っています。
EchoLink でも受信可能
無線設備がなくても、EchoLink のカンファレンスサーバー W1AWBDCT を使えば、CW 練習・デジタルブレティン・音声ブレティンの送信音声をリアルタイムで受信できます。実際の電波と同時進行で流れているため、手軽な練習環境としても非常に便利です。Qualifying Run のテキストも EchoLink 経由で受信可能です。
2026年の休局日
W1AW は以下の祝日に休局となります(ARRL 本部も休業)。
- 1月1日(元日)
- 2月16日(大統領の日)
- 5月25日(メモリアルデー)
- 7月3日(独立記念日)
- 9月7日(労働者の日)
- 11月11日(退役軍人の日)
- 11月26日・27日(感謝祭および翌日)
- 12月25日(クリスマス)
なお、W1AW は平日(月〜金)の午前10時〜午後3時45分(東部時間)に見学が可能で、FCC のアマチュア無線免許を持参すれば局の運用も体験できます。
まとめ
W1AW のスケジュールを改めて見てみると、初心者〜上級者まで対応した CW 練習、多様なモード(CW / デジタル / 音声)、非常通信も想定した運用と、非常に完成度の高い運用がされていることが分かります。
私自身もそうですが、CW の聞き取り練習においては、「とにかく実際の電波を聞く」ことが上達への近道です。W1AW はそのための、まさに理想的な教材です。
ぜひ一度、スケジュールを確認してワッチしてみてはいかがでしょうか。