本日、CW Decoder Version 2.32(iPhone、Android 共)をリリースいたしました。
今回のアップデートでは、モールス信号デコードにおける長年の課題であったフェージングと強力信号による感度抑圧の問題を解決すべく、デコードアルゴリズムに大幅な改良を加えました。これにより、微弱信号から強力信号まで、ユーザーによるパラメータ調整なしで自動的に最適なデコードを実現します。
弱信号デコード性能向上と E / I の出現について
今回のアップデートにより、弱い信号でのデコード性能が大幅に向上しましたが、その代償として、無信号時に E や I が頻繁に出現するようになりました。これは技術的には想定される挙動で、実運用では有利になると考えています。
(技術的背景)
モールス符号において、E(・)と I(・・)は最も短い符号です。弱い信号を確実にキャッチするため、今回の改良では検出感度を向上させましたが、これにより短いノイズパルスも信号として拾いやすくなります。統計的に見ると、ランダムなノイズから最も生成されやすいのは、単発パルス(E)や2連パルス(I)であり、これらが優先的に誤検出されるのは理論的に妥当な結果です。
(実運用での評価)QSB で信号が弱くなった瞬間に符号が途切れてしまう従来の問題が解消され、フェージング下でも安定して受信できるようになったことは、実運用における大きな改善だと思っております。
今後、さらに、感度と誤検出のトレードオフについて、実運用に最適化したバランスを実現したと考えています。
従来の課題
従来のデコーダーでは、以下の2つの相反する問題がありました。
- フェージングによる符号分裂
QSB で信号強度が低下した瞬間に、まだ信号は続いているにもかかわらずノイズと誤判定され、符号が分裂してしまう。 - 強信号によるブロック現象
599++ のような強力な信号が入ると、周囲のノイズレベルが上昇したと誤学習し、その後の通常信号がデコードできなくなる。
改良内容
今回の修正では、以下の3つの改善を実施しました。
- フェージング耐性の向上:信号がフェージングで弱くなっても、即座に「ノイズ」判定せず、弱い状態でも信号として追跡を継続
- 適応型閾値制御:ノイズのばらつきに応じて判定マージンを自動調整するロジックを導入
- 強信号対策:強力な信号入力時でもノイズレベルを低く維持し、S/N 比を確保し続ける機構を実装
- つながり符号対策:"CQ"、"UR"、"BK" のような符号がつながってしまうことが多くあるため、つながった符号として認識できるようにマップへ追加
これらの改良により、実運用環境におけるデコード性能が向上しました。
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