アマチュア無線の世界には、さまざまな楽しみがあります。
その中でも特に奥深く、個性が際立つのが「和文モールス」です。
モールス符号の音に日本語の響きをのせて伝えるこの通信は、欧文モールスとは異なる独特の魅力を持ちます。しかし、和文モールスの習得には一定の慣れとコツが必要です。
今回は、和文モールスを自然に楽しく学び続ける方法として 「1日5分の暗記受信習慣」 をご紹介します。何度も取り上げてきた内容ではありますが、この方法を取り入れることで 無理なく日常に馴染ませながら、着実な上達を実感 することでできると思います。
日々の小さな積み重ねが、習得の鍵
このブログを始めてから12年、小説や昔話、そして「子ども向けニュース」など、さまざまな素材を和文モールスに変換し、音源化して発信してきました。中でも「子ども向けニュース」は、これまでに430回取り上げており、学習用としても非常に相性の良い題材だと感じています。
というのも、「子ども向けニュース」は、小学生にもわかるようにやさしく構成されているため、文章の長さや語彙のレベルがちょうどよく、和文モールスの練習素材としてとても扱いやすいからです。さらに、再生時間も5分以内に収まることが多く、通勤や移動中の “ちょっとした隙間時間” に取り組むのに適しています。
「暗記受信」のすすめ
こうした短時間の受信練習は、和文モールスの実践力向上に大きく貢献します。特に 隙間時間を活用した受信練習 は、上達の重要なポイントのひとつです。
たとえば、移動中にノートや筆記具を取り出して一文字ずつ書き留めるのは難しいものですが、こうした場面では 「聴いた内容をその場で理解し、頭の中で覚える」 というスタイルが自然と身につきます。これが 「暗記受信」 です。
暗記受信こそが、実際の交信で役立つ受信力を高めるための近道といえます。
アマチュア無線の交信は、プロの通信士のように正確な電報を記録することが目的ではありません。趣味として、言葉のやり取りを楽しむことが本質 です。
だからこそ、耳から入った符号を瞬時に意味として捉え、頭の中で自然に言葉として組み立てる力 が重要になります。
書き取り中心の練習では、この瞬時の理解力を鍛えることは難しいものです。むしろ、ラジオ番組や音楽を聴くように、モールス符号を「音」として受け止め、意味を理解すること が、実践的なスキル向上につながります。
最初はゆっくりでも問題ありません。大切なのは 「書かずに聴く」こと。つまり、ペンを持たず、耳と頭だけでモールスを聴くことに慣れていくことが、和文モールスの力を自然に育てる一歩となります。
今日から始める「1日5分の習慣」
ということで、和文モールスの魅力をさらに深く楽しむために、まずは「1日5分の暗記受信習慣」を取り入れてみるのはどうでしょうか。毎日の小さな積み重ねが、やがて「モールスが自然に言葉として聞こえる」 瞬間へとつながっていきます。
和文モールスが、あなたの中にすっと染み込んでいく日が、きっとやってくるはずです。