JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

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JARL 会費更新の季節に思うこと:ARRL の充実した会員特典との比較

先日、JARL(日本アマチュア無線連盟)の年会費(7,200円)の自動引き落としが完了し、今年も会員を継続することになりました。

実は更新の少し前に、JARL から「今年の会員継続のご意向について」という内容の確認メールが届いていました。その時は「少し考えようかな」と思ったものの、日々の忙しさに追われ、すっかり忘れてしまい、結果として例年通り更新手続きが完了したというわけです。



今の私にとっての JARL 会員のメリットは?

改めて、JARL の会員でいることのメリットについて考えてみました。

かつて一番の魅力といえば、QSL カードの転送サービス、いわゆる「ビューロー」の利用でした。しかし、私はすでに紙の QSL カードでの交信は行っておらず、現在は「LoTW」や「eQSL」といったインターネット経由の QSL サービスをメインに利用しています。

そうなると、JARL 会員として今残っているメリットは、

  • @jarl.com のメールアドレスが使えること

  • JARL が提供するアンテナ保険に加入できること

この 2 点くらいでしょうか。

ちなみに、会員向けに送られてくる「JARL ニュース」も毎号届いてはいますが、正直なところ内容をじっくり読むことは少なく、パラパラと目を通す程度になっています。

海外と比べるとどうしても感じてしまうギャップ

ARRL の会員特典がとにかくすごい

ここで、アメリカのアマチュア無線連盟「ARRL(American Radio Relay League)」の会員特典について少しご紹介したいと思います。日本の JARL とは内容が大きく異なり、その充実ぶりには驚かされます。

ARRL のインターナショナル会員の年会費は 59 ドル(約 9,000 円)ですが、その会費以上の価値を感じられる内容となっています。

充実のデジタル雑誌

ARRL の会員になると、以下の 4 つの雑誌をデジタル(PDF)で読むことができます。

  • QST:アマチュア無線全般を網羅した月刊誌で、機材レビューや最新技術の紹介など、内容が非常に豊富です。

  • QEX:技術的な内容に特化した専門誌で、電子回路やアンテナ設計など、より深い知識を得たい方にとって最適です。

  • On the Air:ビギナー向けの隔月誌で、免許を取得したばかりの方が楽しみながら学べる内容となっています。

  • NCJ(National Contest Journal):コンテスト運用に特化した情報誌で、上級オペレーター向けの専門誌です。

これらの雑誌はすべて PDF で配信され、過去のバックナンバーにもアクセスできます。

特に「QST」は、日本の「HamWorld」誌に匹敵するほどのボリュームがあり、内容も非常に充実しています。また、最近ではブラウザの翻訳機能などを活用すれば、誌面のレイアウトを崩すことなく、ほぼそのままの形で日本語に翻訳して読むことも可能なので、英語が得意でない方でも内容を楽しむことができます。

「QEX」は技術寄りの内容ですが、電子回路やアンテナ設計に興味がある方には非常に参考になる記事が多く、私にとっては「読めるだけでお得!」と感じています。

QEX、レイアウトを崩さずに、日本語に翻訳して読んでいます。

オンライン学習や動画チュートリアルも充実

ARRL では、Learning Center というオンライン学習サービスも提供しています。災害通信、電子工作、無線技術の基礎から応用まで、専門家が作成したコースやビデオ教材で学ぶことができます。

さらに、ARRL の歴史ある雑誌「QST」のバックナンバー(1915 年から 2011 年)も検索可能で、1980 年代からの製品レビューなど、貴重な資料を読むことができます。

技術サポートや QSL 転送サービスも完備

会員は技術的な質問をメールや電話で ARRL に問い合わせることができ、専門スタッフによる無料のサポートを受けることができます。

もちろん、QSL カードのビューロー転送サービスも提供されており、世界中のアマチュア無線家との QSL 交換をスムーズに行うことができます。

@arrl.net メールアドレスと会員限定特典も

ARRL 会員には、@arrl.net のメールアドレスが付与され、指定したメールアドレスへの転送設定も可能です(送信はできません)。さらに、会員限定の懸賞やプロモーションにも自動的にエントリーされる仕組みになっています。

活発なコミュニティ活動

アメリカ国内外に 14 万人以上もの ARRL 会員がおり、2,500 を超えるクラブが活発に活動しています。会員は地域クラブに参加したり、ARRL フォーラムで情報交換したりすることができます。

また、ARRL ではリーダーシップ研修やボランティア活動の機会も提供しており、アマチュア無線を通じて社会貢献を目指す活動も支援しています。

JARLにも、もう少し魅力がほしい

もし JARL でも、会員特典として「JARL ニュース」や「CQ 誌」(CQ 出版と連携して)などを電子版で読めるようになったら、会員にとっての魅力は格段に増すのではないでしょうか。バックナンバーも含めてオンラインで閲覧できるようになれば、紙の QSL カードを利用しないハムにとっても、非常に価値のあるサービスになるはずです。

私のように「更新どうしようかな…」と迷っている人にとっても、そうしたデジタル特典があれば、迷わず継続しようという気持ちになるでしょう。

ただ、現在の JARL の状況を見る限り、そうした変化がすぐに実現する可能性はあまり高くないように感じています。

一方で、アメリカの ARRL は、会員サービスの内容が非常に充実しています。単なる団体として存在するだけでなく、アマチュア無線を「学び」「楽しみ」「続けていく」ための環境がしっかりと整えられており、実際に活動をサポートしてくれる仕組みが整っていると感じます。

ARRL の会員特典を初めて知ったとき、「これはすごいな」と素直に感心しました。これだけの内容であれば、毎年の会費にも納得できますし、アマチュア無線を続けていく上でのモチベーションにもつながります。

日本の JARL にも、このようなサービスが少しずつでも取り入れられたらいいのにと、心から願っています。

来年はどうするか、まだ未定です

今のところ、@jarl.com のメールアドレスとアンテナ保険のために会員を継続していますが、それらも別の手段で代替できるようになれば、必ずしも JARL 会員でいる必要はないかもしれません。

例えば、メールは Gmail などに切り替え、アンテナ保険は一般的な保険会社が提供する個人賠償責任保険などに加入することで代替できる可能性があります。

そう考えると、来年の今頃には、私は JARL 会員ではなくなっているかもしれません。