電子工作をするとき、最も頻繁に使う作業のひとつが「導通チェック」ではないでしょうか。
特にハンダ付けをしていると、次のような確認を何度も行いますよね。
- 配線が確実につながっているか?
- 隣のランドとショート(短絡)していないか?
- スイッチのオン側はどの端子なのか?
- 複雑な配線の中で、特定の一本はどれか?
- 電源ラインは正しく接続されているか?
こうした確認作業に活躍するのが、テスターの基本機能である「導通チェック」です。
簡単な電子工作から本格的なプロジェクトまで、この機能を最も使うという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、この「導通チェック」にスポットを当ててお話ししたいと思います。
デジタルテスターの導通チェック機能
最近では、デジタルテスターが主流となっていますね。
導通チェックをするときは、テスターのブザー音で確認するのが一般的です。
プローブを当てたときに音が鳴るので、目で針を追う必要がなく、便利な機能といえます。
しかし、このブザー音に満足していない方もいるのではないでしょうか。例えば、
- 音がかすれる、接触が悪い
プローブの品質や接触の仕方によって、しっかりした音が鳴らないことがあります。 - 応答速度が遅い
ブザー音が鳴るまでに少し間が空くと、作業のリズムが崩れてしまいます。テンポよく「ピッ、ピッ、ピッ」とチェックしたいのに、もたつくのはストレスですよ。
アナログテスターはどうだろう?
一方で、アナログテスターを使う方法もあります。
針の動きで導通を確認できるため、直感的でわかりやすいという利点がありますね。
ただし、導通をチェックするたびに針を確認するため、作業中の視線移動が増えるのがデメリットです。細かい作業では、これが意外と気になるポイントです。
自作の「Low Power Continuity Tester」で改善!
こうした悩みを少しでも解消できないかと思い、調べてみました。
その結果見つけたのが、「Low Power Continuity Tester」という回路です。
このテスターは、低電力での導通確認が可能で、応答速度も非常に速いという特長があります。
記事を読んだとき、「これだ!」と思い、すぐに作ってみることにしました。
詳しい作り方については、参考にしたサイトの記事をご覧いただくとして、今回は簡単に概要をお話しします。このテスター、必要なパーツが少なく、手軽に作れるのが魅力です。
仕事から帰宅後、早速ブレッドボードに組み立ててみました。短時間でサクッと配線を済ませ、動作確認をしてみたところ、思った以上にスムーズに動いてくれました。
この「簡単に組める」という点は、自作派にとっては大きなメリットです。
記事で紹介されていた回路では、PIC のプログラム書き込みをICSP(In-Circuit Serial Programming)方式で行う前提になっていました。しかし、私の場合、PICkit 4 を使って直接書き込むスタイルなので、少しアレンジを加えることにしました。
まずは、回路図から ICSP に関係する部分を削除し、シンプルな構成に書き換えるところからスタートしました。この作業をすることで、回路がすっきりと整理され、作りやすくなります。
使用するパーツはこれだけです。
今回の「Low Power Continuity Tester」に必要なパーツはとても少なく、手軽に準備できます。
開発者は PIC12LF1571 を使用していましたが、私は入手性を考えて、秋月電子でも取り扱いのある PIC12F1572 に変更して試してみることにしました。互換性もあるため、この選択で問題なく動作しました。
プログラムの書き込み
記事で紹介されているソースコードは、GitHub に公開されていて、そのままコンパイルして HEX ファイルを作成できます。私はこの HEX ファイルを PICkit 4 を使って PIC に書き込んでみましたが、特に問題なく正常に書き込むことができました。
ただ、今回の工作で少し手間取ったのが、この PIC へのプログラム書き込み作業です。
もし最初からコンパイル済みの HEX ファイルが公開されていたら、それを焼き込むだけで済んだのですが、自分でコンパイルが必要だったので、少々手間がかかりました。久々にコンパイル作業をすることになり、少し戸惑ってしまいましたが、無事に完了して一安心です。
というわけで、準備が整ったところで、ブレッドボードに組み立てて動作確認を行います。
シンプルな操作性と3つのモード
使い方はとても簡単です。
プローブを対象に触れるだけで動作します。
モードは3種類あり、SW(スイッチ)を押すことで切り替えられます。
- 導通テストモード
導通があるとブザーが鳴るモード。配線チェックに便利です。 - 逆導通テストモード
導通がない場合にブザーが鳴るモード。回路の絶縁状態を確認できます。 - ダイオードテストモード
順方向の電圧がかかると短いブザー音が鳴り、短絡している場合は連続音が鳴ります。ダイオードの極性チェックに最適です。
すべてのモードで一発で動作確認が取れました!
応答速度も良好!
肝心の応答速度についてですが、何度か試験してみたところ、ブザー音がかすれることもなく、応答もスムーズでした。
作業のテンポを崩さない反応速度で、ストレスを感じることはありませんでした。
今後の予定
近いうちに、このブレッドボードで組んだ回路を小さな基板にハンダ付けし直し、ケースに収めて完成品に仕上げたいと思います。さらに実用性が増すのが楽しみです。
ということで、この「導通チェッカ」の記事はもう少し続きます!
引き続きお楽しみいただければ嬉しいです。
それでは、また次回お会いしましょう!